第19-2話
インモラルはゆっくりと湖のそばを歩いた。
夜風が吹いた。
風に森の匂いが徐々に立ち入った。
やがて湖が終わるところから森が出てきた。
インモラルはゆっくりとその中に入った。
竹がぎっしり詰まった場所だった。
特有の竹の香りが鼻の中を軽く触った。
そろそろその匂いに慣れる頃。
遠くから何だか荒い息づかいが聞こえた。
インモラルは首をかしげた。
足を止めたインモラルはゆっくりと音がしたところに視線を移した。
するとそこにはアランがいた。
寝ると言っていたアランがこんなところにいるなんて。
(何してるんだろう?)
その答えはアランが持っている武器を見て分かった。
アランは剣を持っていた。
「もうやめて、アラン。もう400回は軽く超えた。」
アランの前に浮かんでいるレイスがそう言った。
「この程度では基礎体力を伸ばせない! 僕は他の人よりもっと努力しなきゃならないんだ!」
レイスはため息をついた。
「あいつの基礎体力の話…そんなんで明日ミスしたらどうするの?」
「僕は自分を信じている。僕の直感だけど先生は僕に期待している。だから僕はもっと先へと進むことができる存在にならなければならない。しかも感じた。ダンジョンのモンスターが勉強していたものよりもなぜかもっと強いいたいだ。」
「うーん…。」
レイスはそれが自分のせいであることを知っているかのような反応をした。
結局レイスは止めることを諦めた。
代わりにアランが剣を振り回す度に声を出して数字を数えた。
2人はインモラルが遠くから見守っていることを全く知らなかった。
(これは…。)
遠くから眺めるインモラルは驚いて額に手をつけた。
仕方ないという表情だ。
(はぁ、まったく。)
インモラルは心の中で同じ言葉を何度も繰り返した。
もどかしくもありながら、またこれが面白いとも感じていた。
しばらくためらった後、インモラルはついに決定した。
足の向きをそっと変えたインモラルは、ゆっくりと二人から遠ざかっていった。
来たところに戻るのだ。
森を出るインモラルは静かに独り言を言った。
「そうだ…私は可能性だけを見ている。」
再び見えた湖は、森に入る前のまま静かに流れていた。
風も変わりなかった。
夜が過ぎ、湖には再び朝が訪れた。
インモラルに与えられたダンジョン突破クエスト。
その完了期限まで残った日はあと8日だった。
インモラルは少しも焦っていなかった。
(お金が惜しくない生徒たちだから。)
実際、完了期限が5日ほど残っている時に7階に上がれると見た。
生徒たちの成長力は優秀だった。
予想より3日も早く7階に行けるようになった。
(すべてアランの影響だが、それについて行った生徒たちも普通は越えた。そういった面でアランはパーティー運もついてくれるタイプだ。)
インモラルはあたりを見回した。
早朝でも湖の近くのキャンプ場にはのろい生徒がいなかった。
実は7階に上がるための準備は昨夜すでに終わっていた。
しかしインモラルは装備の再点検を命令した。
緊張感を与えるためだった。
アデルはインモラルが命令する前に自分が担当するパーティーの生徒たちに再点検を指示した状態だった。
物静かな湖。
その横に整列したアデルパーティーはすでに上がる準備ができていた。
インモラルの命令で再点検を進めているのはアランパーティーだけだった。
再点検はあと一人だけを残して終わった。
「アランはどこにいるの?」
アランパーティはそれぞれ自分の武器を再点検して初めて知った。
アランがいるはずの場所にいないことを。
ジェニーはとっくに気づいていたが、どこで何をしているのか分かっていたので黙っていた。
インモラルもこれといって慌てなかった。
(そろそろ来る頃だが。)
再点検を終えたアランパーティーが湖の横に整列したのを見てそう考えていた。
風がさっと吹いた。
湖が終わるところにある森から、熱い熱気とともに誰かが歩いてきた。
アランだった。
徹夜したとは思えないほどしっかりとした歩き方だった。足跡一つ一つに力が満ちていた。
インモラルはアランの状態を一目で把握した。
「うん、いいね。」
アデルも同じ判断をしたのか、そう言った。
アランの体調は最高潮に達していた。
アランは急いでパーティーの先鋒に立った。
「遅くなってすみません!」
体を包み込む熱気と目に漂う深い精気。
インモラルが遅れて合流したアランを責めなかったのは、アランの準備された心身のためだった。
この時アラン自身は知らなかった。
自分のステータスに微妙な変化が生じたことを。
名前:アラン
レベル:36 種族:人間
職業: 自覚できない(進行率:72%) 名望:10
昨日までは50%だった進行率が22%上昇していた。
パーティーの誰かが力強く言った。
「さあ、行こう!」
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