第14-2話
鉱山の入り口付近には今やインモラルと記録官だけが残っていた。
「では校長。私たちはここで中の状況を見守りましょう。」
記録官はポケットから丸い玉を取り出し、床に置いた。
すぐに大きな四角い画面一つが玉の上に大きく現れた。
画面にはダンジョン内の状況がリアルタイムで映された。
インモラルはそれを見て、さっきアランにあげたブローチと同じブローチを取り出した。
ブローチを軽く触ると、その前にも四角い画面が大きく表示された。
二人はそうして入り口に座って様子を見始めた。
血鉱山の地下1階。
アランパーティーが鉱山に入ってから10分が過ぎた。
(思ったより広い。)
生徒全員がそんなことを考えた。
鉱山内部は20人が横一列で歩いても十分な幅だった。
道は一つで、深く入るたびに鉱山内部の石が赤く輝くのをよく見ることができた。
幸いなことに、石のおかげで前がある程度見えるということだ。
逆に不吉な色のせいで、生徒たちは緊張感を感じた。
ポトンッ。
たまに天井から水が落ちたりもした。
緊張した何人かの生徒はその度にひどくビクついていた。
そんな状況に冷静さを保っている生徒はただ一人。
黒一点のアランだった。
女子生徒たちに埋もれたまま鉱山に入ってきた時は気が気でなかった。
しかし今は誰よりも落ち着きを保っていた。
アランはひとりで先頭に立ち慎重に進んだ。
鉱山の醜い雰囲気にも女子生徒たちが不安に支配されなかった理由は、完全にアランの後ろ姿があったからだった。
(本来なら女が先に前に出てあげなければならないんじゃないかな。)
(私が見てきた男は恐ろしさから逃げるのが当たり前だったのに。)
(アランは自分の体だけを守ろうとする男たちとは違うのね。)
アランが前にいるだけで女子生徒たちはなんだか安心した。
アランが言った。
「前からモンスターが来ている。」
アランのすぐ後ろにいたある女子生徒が不審な声で尋ねた。
「何が見えるっていうの?」
女子生徒は確かに同じ場所を見ていた。
アランが見ている場所はただ赤い光が揺れているだけだった。
「大きさから見て教養の時間に学んだ30レベルのラージワームみたいだ! 穴を掘りながら突進してきている!みんな準備して!」
そう言ってからだった。
遠くから地面をむさぼり食う音が聞こえ始めた。
アランの後ろにいた女子生徒はその時になってようやく気づいた。
大型犬より大きいワームが本当に穴を掘って前進してきていたのだ。
一方、アランの言葉に反応したジェニーは、すでに戦闘準備を終えていた状態だった。
ラージワームが地面を突き破ってアランの前に出てきた時だった。
後方にいたジェニーは素早く前に進み、タイミングよく魔法防御膜を広げた。
半球形の防御膜はインモラルが教えてくれたスキルだった。
ズンッ。
計3頭のラージワームがジェニーの防壁にぶつかった。ラージワームがものすごいスピードで肉弾攻撃をしたにもかかわらず、防御膜はまともだった。
(インモラルの言葉通り、初級スキルにしては効率がいいな。)
ジェニーがそんなことを考えている間にアランは叫んだ。
「チャンスは今だ!魔法分隊は後続モンスターが出た場合の迎撃準備を! 剣術分隊は前に出て来るんだ!」
本来ならジェニーより先に前に出るべきだった剣術専攻の学生たちが前方に飛び出した。
すると訓練された腹切り技がウォームの腹を裂いた。
あっという間だった。
剣を持った5人の女子生徒によって、レベル31のラージワームは体力が落ち、息途絶えた。
後続モンスターはいなかった。
最初の戦闘はそうして軽く終わった。
しばらくして、パーティー全体に通知音が鳴った。
<お知らせ>血鉱山に入り、初めてモンスターを倒しました。よって、かなりの経験値が分配されます。
-レベルが上がりました。
生徒全員が驚いた。
(たった3匹のワームを捕まえたからってレベルが上がるの?)
生徒たちは人生初のダンジョンで受けた強烈な補償に呆然とした。
何人かの生徒は何かおかしいと感じていた。しかし、それがまさかアデルが教会から支援を受けてきた鎧と武器のためだとは知らなかった。
「さあ、どんどん行こう。」
騒然とした雰囲気の中、アランは皆を魅了した。ダンジョンの探査は第一歩を踏み出したに過ぎなかった。
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