第7-2話

[アカデミー開講に大成功]

 期限が短い中で新入生を誘致するのに成功しました。アカデミーは正常に開講しており、報酬として特異スキルを得ることになります。

 *報酬: 校長専用特異スキル。

 *アカデミーオーナー: 校長専用の特異スキルで、学生の能力に比例して校長の能力値が上昇する。校長は生徒1人当たり、全スタットが最大3まで上がる。ただし、学生が初級、中級、高級ダンジョンを順次クリアするたびに1ずつ上昇する。


(いつ見てもタダで総取りなスキルだな。)


 スタットは一つ一つがとても大切だ。1レベルアップにつき主要スタットは1ずつしか上がらないからだ。


 明知の場合、1業で知恵1と知力1だけが上がる。インモラルの場合もレベルが90で知力が90だ。


 それだけスタットは貴重である。


(学生1人につき3レベルアップ)


 アカデミーオーナーで得るスタットをレベルに換算してみた。


 新入生が40人であるため120レベルアップが無料となる。


 もちろん、学生を高級ダンジョンまでクリアできるように育てた時の話だ。


(難しいが、私ならできる。)


 インモラルは嬉しそうに笑った。一瞬、頭の中で通知音がもう一度鳴った。


 *インモラルの特異スキルが発動されました。インモラルは先天的に特異スキルの獲得率が高い傾向にあります。

[アカデミーの開講に大成功2]

 シナリオの実行条件は、新入生32名の確保でした。8名増えた定員40名を確保しましたので、特別補償が行われます。

 *補償: 校長専用特異スキル2

 *ベストプーピル:一番弟子をおくことができます。一番弟子を選ぶと一番弟子が持つスタットのうち、 一番高いスタット一つがそのまま加算されます

 *一番弟子可能人数 0/5名


 インモラルは目を丸くした。


 それもそう、「ベストプーピル」はレベル300になってから得ることができたはず。


 現在のインモラルのレベルは90だ。


 心臓がドキドキした。


(これで私が序盤から強くなれば、うちのアカデミーは一気に順位を上げることができる!)


 インモラルは目の前にあるグラスにこっそり酒を注いだ。


 生徒たちが食事をしている間、静かに一杯飲んだ。


 興奮を酔いしめて悩んだ。


(自分が強くなると同時に新入生まで強くなる方法は何だろうか?)


 何って何だ、ダンジョンさ。


 初級ダンジョンを選んで新入生を育て、その中から一番弟子にすることができる学生を選ぶ。


 卓越した才能を持った学生は実はここにいない。


 凡材は冷静にも一番弟子としてふさわしくない。


 しかし状況が変わった。300レベルで学ぶ特異スキルを運良く早く学んだ。得たメリットをできるだけ早く活用しなければただのバカだ。


 インモラルは決心した。


 ダンジョンでメンタルの強い生徒を選ぶ。そこで最後の一人を一番弟子としてそのまま入れ、ドーピングを利用して強制的に能力を上昇させる。


(性能が付いたらメンタルは強くないとな。)


 ゲームが好きすぎるやつなら、お気に入りのキャラクターは性能が悪くても育てる。


 ただ、性能が足りずに変なドーピングを動員するがその過程で性格が奇怪に変わる時もある。


(メンタルが強ければドーピングにも耐えられるはずだ。)


 インモラルは筋が立つと野望に満ちた笑みを浮かべた。


(予定にはなかったが、一番弟子一人ぐらいは序盤の祭粢で決めてやる。)


 本音を盗み聞きしたのか、通知音が鳴った。


 -シナリオクエスト2

[初級ダンジョン探査]

 初級ダンジョンを探査してください。アカデミー協会はまだアンビション アカデミーを信頼していません。彼らは2ヶ月後に監査にくるでしょう。 それまでに初級ダンジョンを探査しておかなければ、アンビションアカデミーは協会から追放されることになります。これはアカデミーの閉鎖につながります。

 *残りの期限: 60日

 *今回のクエストの報酬はランダムです。


 物事が気持ちよく一方向に進んでいた。矢印が指すところはダンジョンだ。


 できるだけ準備をして出発すれば良い。


(私ならできる。)


 インモラルは食卓の下に隠しておいた酒を探した。


 お祝いの意味でグラスにこっそり注ごうとしたが、酒が消えていた。


「もう酔ったのか?」


 インモラルが頭を掻く時だった。


 アランがいつの間にか隣の席にいた。かしこまって立っているため何をしているのかと思った。


「一杯お注ぎしてもよろしいですか、校長先生?」


 インモラルは驚いた。アランはテーブルの下にあった酒を持っていた。


(見込みのあるやつだ!)


 インモラルは内心を隠し、グラスを軽く持ち上げた。


 ちょろちょろとお酒を注ぐ音がした。


 歓迎会はそうして熟していった。

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