第2話 入学式

 ――遂に入学式が始まった。


 様々な人の話が終わり、一人のごつくて厳つい男性が壇上に上がった。

 

 その男性を見て生徒全員が緊張し始めた……

 それもそのはず……その男性は元王国騎士団長だからだ……


 (鑑定)


『名 前』:トルコ・バンドル(男)

『年 齢』:55歳

『種 族』:ヒューマン

『身 分』:元王国騎士団長 現ソルデン学園学園長

『レベル』:230

『体 力』:7200

『魔 力』:5000


 230か……流石に圧倒的だな……

 しかも学園長に関してはゲームでステータスを確認出来なかったからほとんど情報がないんだよな……

 まぁ、敵では無いから大丈夫か……


 学園長のちょっと長めの話が終わって次は生徒会長が出て来た。

 新入生が凄くざわついている……それもそのはず。

 生徒会長はとても凛々しくて男女ともに惚れてしまうルックスの持ち主だ。

 それこそヒロインと言っても良いほどだ……

 その上、2年前にミリア・パラドレットの一強時代を1年生ながら終わらせる程の実力者だ……


 ゲームだとミリアと共に主人公のサポートキャラで、ゲームで最もぶっ壊れキャラと名高いキャラだ……

 こちらは強すぎるのか、ミリアより出番がとても少なくどの位強いのかも名言されていなかった。

 それもあって性格もどんな感じなのかほとんど分かっていない。

 ちなみにこの生徒会長の名前はハナ・ジェルトと言って実はミリアと付き合ってる設定だったよな……

 てことはこの人も百合か……


 って今はそんな事を考えている時じゃないな……


  (鑑定)

 

 ……

 ……

 ……


 鑑定出来ないな……

 

 結局何も分からないが一つだけ分かる事はある……それは、生徒会長だけは何があっても絶対に敵に回しちゃいけないって事だ。

 生徒会長は学生ながら恐らく学園長と同等の強さを持っているはずだ。


「それでは皆さん、良き学園生活をお送りください……」


 俺がそんな事を考えていると生徒会長の話が終わっていた。

 生徒会長が礼をして顔を上げた瞬間……生徒会長と目が合った……気がした……

 その顔は微笑んでいるはずなのに何故か全身に鳥肌が立った。


 それはまるで面白そうなおもちゃを見つけた様な感じだった……

 

「気のせいだよな……」


 俺はそう思う事にした……


「それでは最後に新入生代表……サザニシア王国第四王女であるセリアス・パラドレットさん……壇上でご挨拶をお願いします」


 セリアスの挨拶か、ゲームと同じ展開だな。

 しっかしざわつきが酷いな……

 まぁ、メインヒロインだけあって圧倒的な可愛さだもんな……

 その上、頭脳は相当なものだからな……ただ恋愛の事になるとポンコツになりがちで、そこもプレイヤー達からかなり人気だったな。


「セリアス様、可愛すぎね」

「胸滅茶苦茶でかいじゃん」

「俺後で話しかけてみようかな」

「やめとけ……相手にされる訳ないだろ」

「俺は侯爵家だし……」


 そんな話声が周りから聞こえて来る。

 正直良い気はしない……世間に発表はまだしていないものの一応婚約者候補だしな。


「初めましての方が多いと思いますが、私はサザニシア王国第四王女のセリアス・パラドレットです。私は皆様と共に学園に通える事を凄く嬉しく思います。今年は皆様もお分かりだと思いますが『唯一属性』である『賢者』『聖女』『巫女』をお持ちの方もいらっしゃいますので例年とは違った学園生活になると思いますが、努力を怠らずに自分を磨き続けましょう。」


 うん、凄くちゃんとしてるな。

 思えば俺がこの世界に来てから話していたセリアスは何て言うかこう……凄く可愛らしい女の子って感じだけど、あれは特殊な出会いがあったからで普通はこっちのセリアスなんだよな……



 入学式が終わり皆が教室に移動を始めた。


「キース兄さま、私達はセリアス様と同じでSクラスですね!」

「あぁ、そうだな」


 クラスはSからDクラスまであって優秀な人からSクラスになる。

 勿論主人公であるトールも『聖女』『賢者』『巫女』も元婚約のミーヤも同じSクラスだ。


「それじゃあ、教室まで行こうか……」

「はい!キース兄さま」


 そいってサーラは俺の腕に抱き着いて歩いた。


「サーラ、学園では止めた方がいいんじゃないか?」

「いえ、キース兄さま……こうする事には立派な理由があるんです」

「そうか?サーラが抱き着きたいだけなんじゃ……」

「勿論それも一つの理由ですけどね……」

「まぁ、サーラがそれで良いなら俺は別にいいけど……」

「はい!」


 俺がそう言うとサーラは満足そうな笑顔になった。

 まぁ、この方が都合は良いか。

 サーラは見た目が天使だから自然と男子が寄って来るだろう……

 でもこの姿を見れば余程の馬鹿以外は近づけなくなるな。


 ――俺とサーラは教室に入って二人で座っていた。


「なぁ、サーラ……このクラスどう思う?」

「そうですね……やはり『唯一属性』の方や今は居ませんが王族であるセリアス様が居るので少し大変そうですね」

「やっぱりそうだよな……」


 それにしても庶民がトールとメリルしか居ないから凄い居心地悪そうだな……

 俺よりも視線が酷いぞあれ……

 でもトールは割と平気そうだな。

 トールはメリルに話しかけているが、メリルは凄く視線に恐れてる感じだな……

 改めて思うと庶民で『聖女』ってなかなか難しい立ち位置だよな……


 そしてあの子が『賢者』だな……

 凄く綺麗で中性的な顔だ。


 (鑑定)


『名 前』:アルス・ソーサラ(女)

『年 齢』:15歳

『種 族』:ヒューマン

『身 分』:男爵令嬢

『レベル』:55

『体 力』:1400

『魔 力』:1300


 ゲームより少しレベルが高いな……まぁ誤差か……

 『賢者』の何がヤバいって言うと、使用魔力三分の一で威力三倍……

 他にもあるがとにかくこの二つがヤバい……

 まぁ、レベル差とかで俺やサーラよりは弱いだろうけど……多分。


 『巫女』は……分かりやすいな……学園でも巫女服を着ていて凄く目立っている。

 黒髪で清楚な見た目で凄く顔が整っている。


 (鑑定)


『名 前』:ヒメカ・タナト(女)

『年 齢』:15歳

『種 族』:ヒューマン

『身 分』:和国の長の娘

『レベル』:55

『体 力』:1500

『魔 力』:1200


 そう言えばヒメカは王国じゃなくて和国の出身だったな。

 『巫女』は少し特殊で、未来視が特に強い。

 それこそ数秒後の未来を見れる。

 戦闘スタイルは意外にも超ド近距離が得意なんだよな。

 

 そして寝ている時に大きな出来事が起こる際に未来を見る事がある。

 それがビッグイベントに繋がったりしてたな。


 当たり前だけど今現在だとトールと関りがあるのはメリルだけっぽいな……


 これからどうなるか全く予想が着かないが、俺は好きにやらせてもらおう。

 こうしてヒロイン達を見るとゲームをしていた時を思い出して凄く気持ちが昂る。


「なかなか面白い学園生活になりそうだな……」

「私はキース兄さまと一緒ならどこでも楽しいですけどね……」


 そんな可愛い事を言ってくれるサーラの頭を俺は人目を気にする事なく撫でた。

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