第20話 セリアス・パラドレット(中)
★セリアス・パラドレット(side)
パーティーがあった次の日に私は、小さい頃から一緒にいたメイドが一緒に行きたい所があると言うので珍しいな……と思いながら付いて行った。
何故か人が少ない場所に来たので私はトリアに尋ねた。
「トリア?一体どこに行くの?」
「もう少しですよ、セリアスお嬢様」
トリアがそう言った後すぐに、私の視界が覆われた、そして手錠をされた。
私は抵抗しようとしたが、何故か全く力が出ない……トリアの名前を呼んでも返事が無い……
私はこの時点で薄々気付いて居た……トリアが裏切ったのだと……でも信じたく無かった……
それから私は何処かに連れて行かれて、ベッドの上の放り出された。
私はミリアお姉さまが絶対に来てくれると信じて、ミリアお姉さまに頂いたペンダントを握りしめた。
私は疲れてしまったのか、そこで眠ったしまった。
◇
私が眠っていると何処からか声が聞こえて来た。
その声はミリアお姉さまの声だった……しかし夢なのではないかとも思っていた私は変な事を聞いていた。
「――ん……んん……え?ミリアお姉さま?どうしてここに?」
私がそう言うと、ミリアお姉さま優しく話してくれた。
「大丈夫だったか、何もされて無いか?助けに来たよ……セリアス……遅れてごめんね」
「大丈夫だよミリアお姉さま……まだ何もされてませんよ……」
「そうか……良かったよ……」
ていうか……何でキースさんがいるのでしょうか?
ミリアお姉さまと一緒に助けに来てくれたみたいですが……一体どういった関係なのでしょうか?
私がそんな事を考えていたら、扉が開いて誰かが来ました。
そこにいた人を見て私は凄くショックを受けた……
ダレスお兄様が何故か私の事を狙っている事は何となくで、分かっていました……ミリアお姉さまからも忠告を受けていましたし。
それでも、家族です……流石に凄く悲しいとおもいました……
そしてミリアお姉さまの質問に対してダレスお兄様が答えました。
なんでもダレスお兄様は私が産まれた時からずっと愛していたと……腹違いではあるけど兄弟だから結ばれる事が出来ずこのような行動に移して、私を監禁しようとしたと。
とても正気には見えないダレスお兄様の発言を聞いて、私は恐怖で震えていました。
そしてミリアお姉さまとダレスお兄様が言い争っていたのですが、どうやらダレスお兄様には協力者がいるらしく、その方々をよびました。
そしてその姿をみて私は再び……いや先ほどよりも絶望しました……
だってそこにはトリアの姿があったからだ……
私は声が出ませんでした……しかしミリアお姉さまが私の代わりに言ってくれました。
「何故だ!!!何故トリアがそっちにいるんだ!!!トリアはセリアスのメイドだろ!!!」
「はい、すいません、でも私にも私の事情がありますので」
意味が分からない……そんなんじゃ何も分からないよ……
「黙れ!!セリアスが小さい頃から一緒に居た癖に良くこんな事が出来るな!!!」
「もう一度言いますが私には私の事情がありますので」
トリアは再びそう言った。
私はトリアが理由を言う気は無いんだと思ったし、何よりミリアお姉さまが冷静じゃ無くなっていたので何とか頑張って口を開いた。
「そう……やっぱりあなただったのね……私が連れ去られた時に私の視界を塞いで拘束したのは……道理で名前を呼んでも助けてくれなかった訳だ……」
私のその言葉にトリアは何も言わなかった。
私はこの瞬間、トリアは私を完全に裏切ったんだと、感じさせられた……しかし私はここで落ち込んでいる訳にも行けないと思い、正気を持ち続けた。
そんな時、キース君がミリアお姉さまに聞いた。
「それでどうしますか?ミリア様……流石に3体1はキツイですよね?」
「はぁ?君は私をなめているのか?」
ミリアお姉さま……そんな言い方しなくても……とか思いましたが、確かにミリアお姉さまなら大丈夫なのだろう……
そうしてミリアお姉さまとダレスお兄様達の戦いが始まった。
――暫く戦闘が続いたが、戦況は互角いや、寧ろミリアお姉さまが推している。
流石はミリアお姉さまだ……フルセンスの名は伊達じゃないですね……
ダレスお兄様はこのままだと負けると思ったのか、急に私に狙いを定めて来た。
私は手錠をされて力が出なかったのでマズイと思ったがそんな時に
「それはさせませんよ」
キース君がそう言ってダレスお兄様の腕を掴んで受け流した……
ダレスお兄様はレベル120以上だったはずだ……それをあんな簡単に躱すなんて……
私が関心していたらキース君が言って来た。
「セリアス様、絶対に俺から離れないでくださいね」
私はそれを聞いて少しドキッとした。
しかし状況が状況だったので直ぐに正気に戻った。
そしてダレスお兄様が切れだした。
「くそ!貴様邪魔をするな!!!!!!」
「はぁ、もう諦めてくださいよ……どう考えたって3対1でミリア様に勝てないんじゃもう何をしても無駄ですよ……」
「そうだぞ!ダレス!諦めて付いて来るならもうこれ以上傷つかなくて済むぞ!」
「ふははははははは!!!!」
ダレスお兄様に対してキース君とミリアお姉さまが諦めろと言ったら、ダレスお兄様は急に笑い出した。
私は狂ったのかと思ったがどうやら狂った訳では無さそうだった……
「もういいや……おい貴様らプランCで行くぞ……」
「「はい」」
ダレスお兄様達がいうプランCとは何なのでしょう……
三人が一つの場所に集まってからダレスお兄様が言い出した。
「ふふふ、これでお前なら終わりだよ……セリアスを失うのはかなり痛いけど、この際だから仕方ない……」
それを聞いて私は凄く嫌な予感がした。
そしてダレスお兄様が取り出したのは、転移石と良く分からないキューブだった。
私とミリアお姉さまは何か分かりませんでしたが、キース君は知っているのか、ものすごく怯えていました。
そしてダレスお兄様が言いました。
「じゃあな……」
「何だと?何を……」
「end3発動……そして転移」
「は?一体……」
ダレスお兄様はミリアお姉さまの事は無視をして、end3発動、と唱えて転移して行きました。
それを聞いてキース君がもの凄く慌てて私に触れて"空間転移"を行ってミリアお姉さまの場所に行きました。
その時には私もミリアお姉さまも気付いていました……end3と言う物がどれ程恐ろしいのかを。
可視化出来るほど魔力が集まっていて、今大爆発を起こすんだと……そう、本能で理解出来た。
キース君が"空間転移"をする直前に爆発が起きて、私は、あっ、これ死ぬな……と思った。
そんな時にキース君が私を抱き寄せてくれて、間一髪で"空間転移"が間に合った……と私は思っていた。
――転移先は誰かの家だったが、今はそれどころじゃなかった。
だって……キース君の腕が……無くなっていたのだから……
わ……私を庇ったせいで……
「はぁ、はぁ」
キース君はとても辛そうだ……
「お、おい……だ、大丈夫か……」
「あっ……あ……」
ミリアお姉さまがたまらず声をかけた……
私も何かを言わないとと思ったけど、声が出なかった……
「はい……一応……」
そんな訳が無い……笑顔で言っているが、凄く苦しそうだ……
キース君は、私達に心配を掛けたくなくて、私に向かって微笑んでくれたんだと……そう思えた……
「とりあえず休め!今すぐに人を呼んでくるから!」
「はい……ありがとうございます」
そう言ってミリアお姉さまはキース君をベッドに寝かせた……
「すいません……ちょっと寝ますね……」
キース君はほ弱弱しくそう言った。
「あぁ、ゆっくり休んでくれ……」
「はい……セリアス様も元気出して下さいね、俺は大丈夫ですから」
眠る直前まで私の事を心配してくれるキース君を見て私は涙が溢れて来た。
自分の弱さに……自分が攫われたせいでキース君が……
そう思って己の無力さがたまらなく悲しくなったからだ……
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