第16話 セリアスの失踪

 翌日の朝、俺は準備をしていた。


「よし!これで大丈夫だな……行くか!」


「空間転移――」


 魔法道具の効果も切れていて簡単に王城の庭に侵入出来た。


 それじゃあ、『隠密』魔法を使ってセリアスを探すとするか。


 ――見つけた!


 お城の中には、レベル100越えの人がいっぱいいるし、普通にレベルが俺より高い人もいた。

 その為深い所まで探せなかったので少し時間がかかってしまった。


 メイドも一緒だな……

 とりあえず


 (鑑定)


『名 前』:セリアス・パラドレット(女)

『年 齢』:14歳

『種 族』:ヒューマン

『身 分』:サザニシア王国第4王女

『レベル』:70

『体 力』:1800

『魔 力』:1300

『基本属性』:『火』『水』『風』

『特殊属性』:『氷』『隠密』

『希少属性』:

『単一スキル』:『魔法特攻』(A)『物理特攻』(A)『変身』(A)


 流石王族だな、ゲームでも学年で常にトップだったしな。

 でも問題はメイドの方だ……


 (鑑定)


『名 前』:トリア(女)

『年 齢』:25歳

『種 族』:ヒューマン

『身 分』:セリアス付きメイド

『レベル』:120

『体 力』:3500

『魔 力』:1900

『基本属性』:『風』『闇』

『特殊属性』:『隠密』

『希少属性』:

『単一スキル』:『上級体術』(A)『冷静』(C)


 セリアスの護衛も兼任しているだけあって流石に強いな……

 でも全然対処出来るレベルで良かった。


 それじゃ、長居したら誰かに気付かれ兼ねないからさっさと『マーク』を付けるか。


 そうして俺は『マーク』のスキルをを二人に使用してその場を去った。



 とりあえず第一目標は達成出来たな。

 とは言え『マーク』は居場所と体力と状態異常の状況しか分からない。

 誰かに襲われて体力が急減するとか状態異常にかかるかしないとピンチかどうかは分からない。

 だからもし意識があって状態異常にもなって居ない状態で捕まったら気付けないだろう……


 まぁ、この手の時は大体が飲み物に薬を混ぜるのが王道だろう……

 今回もそうなる確率が高いと確信している。

 

 ――暫くしてセリアスとトリアがお城を出た。


「ん?どうしてお城を出たんだ?」


 居る場所しか分からないとやっぱ不便だな。


 って、なんだ?セリアスとトリアの距離がどんどん離れてるぞ?

 セリアスは体力が減ってる訳でも状態異常になってる訳でもない……


「いや、考えている時間は無い急ごう」


「空間転移――」


「ッチ!少し離れた所にしか転移出来なかった……」


 あっち側だな……急ごう!



「――ここなのか?」


 『マーク』があるのはこの地下だ。

 そこはとてもじゃ無いけど王族が来るような所では無い。

 だってここは違法奴隷を扱っているそう言った奴ら以外は誰も寄り付かない場所なのだから……

 

 ゲームではサブストーリーで少しだけ出て来た所でストーリーは関係は無かったはずだ。


 セリアスがここに居る理由……

 どう考えても第3王子が違法奴隷商と関わっているって事だ。

 しかしゲームでは全くそんな話は無かった……

 第3王子が追放された裏側にはこんな事もあったのか……


 ていうか、第2王女はどうしたんだ?


「まぁ、いいや、それより早く行こう――」


「おや、どうしたのかね?ここは君の様な子供が来るような所じゃないぞ」


 俺が中に入ると男が話しかけて来た。

『鑑定』を使った所、レベルは70で大した事は無い。


「俺と同じ位の子が来ているはずだが?」


 俺は挑発する様にそう言った。

 すると男は一気に警戒態勢に入った。


「何故その事を……あんた何者だ?」

「お前にそれを知る権利はない……今すぐそこを退いてくれ、お前と話している時間が勿体ない」

「はぁ?ガキの癖に調子に乗るなよ!!」

「そうか……それじゃ、バイバイ」


 俺はその男を一瞬で倒して先に進んだ。

 

「――なんだこれ……」


 そこにはボロボロな人達が沢山牢に入っていた。

 中には四肢が欠けている者もいる。

 とてもじゃ無いけど人が生きていける環境じゃない……

  

 普通の奴隷商は奴隷と言えどそこら辺はしっかりとしてたはずだ。

 そこと比べてたら天と地ほどの差がある……


「気分が悪いな……」


 しかし、今はセリアスが優先だ……

 後で人を呼ぶから今は許してくれ……

 俺が心の中でそう言って先に進もうとした時の事だった。


「おい!君はなんだ!!」


 後ろから女性の声が聞こえて来た。


「っ!!」


 振り向いたらそこには第2王女の姿があった。


「おい!聞いているのか!」


 このタイミングで来たか……

 

 (鑑定)


『名 前』:ミリア・パラドレット(女)

『年 齢』:19歳

『種 族』:ヒューマン

『身 分』:サザニシア王国第2王女

『レベル』:140

『体 力』:4100

『魔 力』:3000


 流石に俺よりレベルも高いか……

 まぁ、当然か……去年まで通っていた学園だと2番目に強かった訳だからな……

 ゲームでもヒロインじゃ無いけど、セリアスと主人公達の二人いたお助けキャラの一人だったんだし……


 でも俺が負けるとは思えないな……

 まぁ、ミリアと争って良い事は無い。

 絶対に味方にならないといけないな……


 何て答えるのが正解なんだ……

 適当な言い訳を?

 いや、下手嘘つくのはどう考えても悪手か……


「いえ、ただここに誰かが攫われている所を見たので助けようと思っただけですよ」

「それを証明出来る証拠はあるのか?」


 ミリアは訝しげにそう言って来た。 


「入口に人が倒れていましたよね?それは俺がやりました」

「そんれじゃなんの証拠にもならないだろ……大体君が倒したって証拠も無いし……」


 まぁ、当然の反応だな。

 てか、寧ろ丁度良いか。


「そうですね、では自己紹介をしましょうか……俺はグリッド公爵家3男のキース・グリッドです」

「キース・グリッドと言えば悪評だらけの信用ならん人だと思うが?尚更どうやって信じろと?寧ろ君が誘拐犯の仲間だと思う方が自然ではないか?」


 うん、予想通りに返事だ……

 

「そうですか……ですが今俺と争っている余裕は無いと思いますが……ミリア様?俺は勿論ミリア様に協力しますよ」

「私が誰か分かっていたのか……」

「えぇ、お会いした事はありませんが、ミリア様はの事を知らないサザニシア王国民は居ませんよ……」


 ミリアは何かを考えた後に口を開いた。


「まぁ、そうだな……今は優先すべき事があるからな……仕方ない今は協力しようか。でも変な動きをしたら直ぐに叩き潰すかなら……」

「はい、それで問題ありません……」


 そんな感じで俺とミリアは先に進んだ。

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