第10話 サーラ救出


 人数は10人……サーラは居ない……リーダーらしき人も居ない。

 もっと奥に居るのか……

 レベルは30~45か……バレずに戦うのは無理だな。

 だったら初めから全力で行くぞ!!!


 まずは座っている2人の男からだ!


「空間転移――」


「時空拳――時空拳――」


「「ぐわぁぁーーー」」

「なっ!!なんだ!!!」

「おいこのクソガキがここがどこだか分かってんのか?」

「うるせぇー!雑魚と話してる時間は無いんだよ!!!」


「時空斬――」


 俺の"時空斬"は4人を一気に切り裂いた。


「なっ!なんなんだお前は!!!」


 敵の1人がそんな事をいうが俺にとってどうでも良い。

 早く先に進まないと……


「時空斬――」


「や、やめろおぉぉーーー!!!」


 あっという間に10人の男たちが力尽きた。


 それにしても"時空斬"はちょっと魔力の消費が激しいな……


 その後、俺は先に進んで最後の部屋に着いた。

 

 ここが最後だな……

 よし!入ろう!


 部屋に入ったら、そこにはボロボロになったサーラと誰かが戦っていた。

 男はへらへら笑いながら戦っている…恐らくかなり手加減しているんだろう。

 そして俺はあの男を知っている……

 ってマズイ!サーラがやられそうだ!!


「空間転移――」


 俺はサーラと男の間に割り込み攻撃を止めた。


「ん?誰だお前……」

「誰でもいいよそんなの、サーラは返して貰うぞ」

「キース、兄さま……」


 サーラに触れさえ出来ていば"空間転移"で一緒に移動出来る。

 顔を見られたのは厄介だが今はサーラを連れて逃げる事が最優先だ。


「じゃあな…空間転移――」


 (ゴツン)


「なっ!!!」


 空間転移を使ったが、部屋から出る事が出来なかった。


「ハハハハハ、おいガキぃー、お前『空間』属性持ちかぁー、良かったよこの部屋に結界を張って置いてよぉー」


 マズった!この男…ライ・ドワンスは『結界』スキル持ちだった!!!

 普通に入れたから油断してた!恐らく入るのは自由だが出る事は出来ないタイプの『結界』スキルを使っていたのか!!!

 『結界』の中だと"空間転移"を使ってもその『結界』の中でしか移動出来なくなり、外に出るにはスキル使用者が自身で解除するか、スキル使用者を殺すしかない……


「キース…兄さま…逃げて…」


 サーラが今にも息絶えそうな声でそう言って来た。


「大丈夫だから、少し待っててね」

「にい…さま……」


 俺はサーラを休ませてライ・ドワンスの方に向かった。

 勝てるのか?相手は血濡れの黒衣12支柱の12席だぞ……

 格上だ…間違いなく勝ったとしてもただでは済まない……


 (鑑定)


『名 前』:ライ・ドワンス

 『年 齢』:28歳

 『種 族』:ヒューマン

 『身 分』:血濡れの黒衣 第12席

 『レベル』:100

 『体 力』:2750

 『魔 力』:1700


 強いな…でもやるしかない……


「ハハハハハ、これはラッキーだな」

「どういうことだ?」

「いやいや、器を回収したらまさかの『希少属性』持ちに出会えたんだ…てめぇを連れて帰ったらかなり評価されるだろう」


 俺の事も連れて帰るつもりなのかよ……


「器…ねぇ、悪いが、お前にサーラを渡す気は無い。勿論俺自身もな」

「へぇー、俺に勝てるつもり?確かに君は強そうだけどさぁ、ガキにしてはだよ?」

「そんな事はどうでも良い」


 長々と話してる時間は無い…早くサーラの治療をしないと。

 

「空間転移――」


「時空拳――」


 って、くそ!"時空拳"が結界を超えられない……

 ライ・ドワンスが常時身にまとってる結界がきつ過ぎる……

 流石Sランクスキルだ……


「ハハハハハそんな攻撃じゃ傷一つ付けれないぞ」

「時空斬――」

「おっ!今のは良いね!でもまだまだ足りないなぁーー」


 くそ!"時空斬"もダメか……

 何か手は……


「それじゃ、こっちからもいくぞ!!!」


 そう言って、ライ・ドワンスは一瞬で距離を詰めて来て攻撃して来た。



「なっ!!(ドスッ)ぐわぁーー、ゴホッ……」


 くそっ!1撃が重すぎる!

 こんなの何回も食らってたら直ぐに力尽きるぞ……

 レベル差が40もあるんだ…時間を掛ければ掛けるほど不利になるのは当たり前だ!!


「ほらほらっ、どうすんだ?どうやってその子を守るんだ?」

「良くしゃべるやつだな……」

「ハハハハハ、だって面白いじゃん!、自分より弱いやつが調子こいてやられるざまを見る事はさぁ」

「こいつ……」


 魔力も後半分しか残ってない…今持てる全ての力を出して速攻で決めないと……

 結界はレベル依存の防御力を持っている…破るにはそれ以上の火力で攻撃する必要がある。

 やるしかない…戦った後に寝込む事になったとして絶対に負ける訳には行かない!!!


 俺は自由にこの世界を楽しむって決めてるんだ!!!

 それを邪魔するなら原作のストーリーに影響を与えるとしても関係ねぇーー!!!

 ここでお前、ライ・ドワンスは絶対に倒す!!!


「魔法強化――魔法強化――」

「へぇー、魔法強化の重ね掛けとか出来るんだー、君危険だね…やっぱりここで殺しておくべきだな」


 『空間』属性の魔法は全てが魔法攻撃扱いだ――なので魔法強化が有効だ。

 しかし魔法強化の重ね掛けは体の負荷がデカい…でもこれじゃ足りない…もっとだ……


「魔法強化――」

「っっ!!3回だと?お前あほなのか?そんなんじゃまともに…」

「空間転移――時空拳――」


 (ボコッ)


「ぐわぁっ!!!」


 俺はライ・ドワンスが何か言っていたが無視して思いっきり腹を殴った。

 正直今にも倒れそうだ……でも攻撃は通る……


「てってめぇ!!何故普通に動けるんだ!!!」


 何故普通に動けてるだと……

 今日みたいに格上の強敵と戦う時の為に、普段から強化魔法の重ね掛けをして、体を鍛えて来たから無理してギリ動けてんだよ……

 三重掛けは初めてだけど……


「空間転移――時空拳」


 (ボコッ)


「なっ…ぐぉっ、」

「時空拳――」


 (ボコッ)


「う"ぅ"ぅ"…やめっ!」

「時空拳――」


 (ボコッ)


「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」


 ライ・ドワンスはもはや虫の息だ。


「これで最後だ」

「や…やめ…てくれ…な…なんでも…す…するから……」


 何故やめる必要がある?俺は敵に情けを掛ける気は全くない。


「じゃあな…時空斬――」


 (ズサッッ!)


 ライ・ドワンスの首と体が離れて真っ二つになった。

 はぁー、限界だ……

 今すぐ寝たい……


「キースお…にいさま……」

「も、もう大丈夫…だか……」


 俺はボロボロなサーラの近くに寄って"空間転移"を使おうとしたその瞬間に意識を手放した。

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