第6話 遺跡

「――てなわけで遺跡までやってきました!!」


 いやー、凄く古臭い遺跡だな……まぁ、遺跡だから当たり前か。

 そんな冗談はいいから早速行ってみようか。


 本来ならばストーリー後半に来て【成長の指輪】をとって、追加キャラクターや放置していたキャラクターのレベル上げに使う為に来る遺跡なんだよな。

 大体本来の報酬がちょっと微妙なんだよな……

 後ほど分かるけど、低レベルじゃクリア出来ないギミックをプレイヤーが開拓してクリア出来るようになった遺跡だ。


「うわっ気持ち悪っっ」


 最悪だ、壁に手を着いたら蜘蛛を素手で潰しちまった。

 こういう時に水属性の魔法が使えれば便利なんだけどな。


「おっと、早速1つ目のギミックか」


 これは確か…中央の大きな像の方に向かって、散らばって置いてある小さな像の顔を向けるだけの簡単なギミックだったよな


「よーし、まずこれを――って重っっ!!」


 なんでこんなに重いんだよ――ってレベルが低いからか。

 ちくしょーー、ここに来てレベルの弊害がでるとは……

 こうなったら意地でもやってやるよ!!!


「おりゃーー!!!」


 (ぜぇぜぇ)


 くそっ、1つ目の像でこんなに疲れてどうすんだよ。


 結局俺は1つ目のギミックだけで1時間かかった。


「あぁーーーやっと終わったぁーーー」


 1つ目のギミックでこれはマズいな。

 少し休んでから再開するか――


「――よっと、ここが2つ目のギミックだな」


 確かここは30分間敵から生き残る奴だよな…普通にAランクモンスターも出るんだよな……

 参考までにAランクモンスターとは、レベル131~200のモンスターでランク的には上から3番目のモンスターだ……


 ここに出るAランクモンスターはドラゴンスライムでレベルは大体――150だったよな…まぁ普通にクリアしようとしたら確実に死ぬな。


 そんな時にゲーム知識の出番なんだよな、実はこの部屋は隠し部屋があって、そこに入る事によって30分間何もしなくても大丈夫になるのだ。

 実はこの部屋、開発者がデバッグで使う為に作ってそのままにしてしまった――そんな話を公式が言ってたんだよな。

 おかげで2週目のストーリーからはお世話になったのが懐かしいな。


「確かこの辺の壁を5回ノックすると――」


 (ゴゴゴゴゴゴゴ)


「ビンゴ♪」


 それじゃ、中央のボタンを押して――ダッシュで部屋に入る。


「おおお、モンスターがいっぱい出て来たな」


 あれはオークか初めて見たな、あれはナイトか、へーなかなか強そうだな。

 俺は窓からモンスター達を観察していたら25分が経過した。


「ギャオォォォォォ」


 きたーー、あれがドラゴンスライム…Aランクモンスターか!!!

 迫力が他とは訳が違うぜ!!!

 

 そんな事言っている間に30分が経過した。


「よし!2つ目のギミックもクリアだな、次行こ――」


 3~8は頭を使うギミックで答えを知らないでやると到底正解は出来ない。

 しかし俺は答えをあらかじめ知っているので3~8は合計1時間もかからなかった。


「――もう9つ目か、意外と早かったな」


 さてと、ここのギミックは何だっけな――

 あーー、初見殺しの猛毒の中10分耐えるやつか。

 まぁ、俺は関係ないね、単一スキルで『無効』があるから常時状態異常完全無効だからね。


「おおー緑色の霧雨と紫の霧が出て来たな」


 無効とはいえ匂いはするんだな…ちょっと生臭い。

 ここの毒はRTA走者が苦労してたよな…わざわざ高レベルの仲間を一時的に雇って解毒して貰わないと駄目だったからな。


「よし!次の部屋がラストだ」


 おおー凄いな、この景色を生で見れるとは……

 中央にドデカイ虹色のクリスタルが設置してあり部屋の所々にレーザーサイトが見える。

 

「懐かしいなー、最後の部屋はプレイヤーのPSだけを求められるんだよな」


 何故かここだけアクション要素があって、周りのレーザーサイトを避けながらクリスタルの攻撃も避けるという謎ギミック。

 アクションゲームが苦手な人は荒れてたんだよなぁ――RPGなのにアクション要素いれるなよ!!!ってね。

 しかもフェーズ5まであって5はなかなか難しいんだよな。


 ちなみにレーザーサイトに触れると即死だ。


 大丈夫なの?て思うかも知れないけど実はこのギミック『浮遊』の魔法があれば超簡単になるのだ。

 『浮遊』魔法で飛んで行ける所に安置が存在している。


 そんな訳だらか『浮遊』が無かったらリセマラが、RTA走者の安定行動になったんだよな。


「まっ、そんな事は良いから始めるとするか――」


 (ギュウィイイン)

 

 装置が起動した。


 フェーズ1だから流石に簡単そうだな、まぁ、俺は簡単な内にさっさと安置にいっちゃお――


「これは凄いな、もし『浮遊』が無かったらと思うとゾッとするな……」


 フェーズ5になったんだが、これを生身でやれって言われたら今の俺じゃ絶対無理!!!

 てかフェーズ4すら無理だと思う。

 普通に身体能力が付いてこない――レベル200位ないと無理じゃないかコレ……


「おっ、もう終わりか」


 (キュイィィィィン)


 中央のクリスタルが光ってそれに触れる事で【クリスタルソード】と言ってランクAの魔属性に与えるダメージが上昇する、対魔族武器が手に入るんだよな。

 魔法に特化している俺からしたら全く魅力的に感じないアイテムだな。

 てか【成長の指輪】と比べたらゴミと言っても良い位だ。

 まぁ、いずれ誰か取りに来るだろう。


「それじゃ、10分待つとしますか――」


 (ゴゴゴゴゴゴゴ)


「――やっと10分経ったのか」


 10分が経過して、隠し通路が開いた。

 

「じゃ、行きますか――」


 思ったより狭い部屋だな。

 部屋の中央に箱が置いてある。

 この箱に入っているんだよな。


「よし!開けてみよう!」


 きたーー!【成長の指輪】だ!!!

 見た目はマジで普通で何処にでもあるような感じだけど、指輪の内側に「grow」って掘ってあるんだよな。

 うん!クソダサいな。

 どうしてこんなデザインにしたのか……


「まっ、いっか、とりあえず付けてみるか」


 うーん、付けても変わったのか分からないな。

 鑑定で確認してみるか――


 (鑑定)


 『名 前』:キース・グリッド(男)

 『年 齢』:14歳

 『種 族』:ヒューマン

 『身 分』:公爵家3男

 『レベル』:16

 『体 力』:500

 『魔 力』:490

 『基本属性』:『火』『無』

 『特殊属性』:『浮遊』『隠密』

 『希少属性』:『空間』

 『単一スキル』:『無効』(S)『鑑定』(A)『魔法特攻』(A)『並列思考』(B)『サーチ』(C)

 『装備』:【成長の指輪】



「うん、ちゃんと反映されているな」


 しかも3日後は月末だからこの【成長の指輪】が早速役に立つんだよな。

 【ゴッド・ブレイズ】の世界は月末の日に「泉の洞窟」という場所が何か所かあり、そこで経験値を大量にくれるモンスターが出やすくなるんだよな。

 スライムメタルや確率は低いがハイスライムメタルもでる――まぁ、ハイスライムメタルは流石に出ないと思うけど、スライムメタルなら何体かは狩れると思う。


「――てなわけで家に帰る前に"空間転移"が出来るように「泉の洞窟」によってから帰ろう!!!」

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