第5話 食事会
「俺が次すべき事はやっぱりアレだよな」
レベリングをする前に取っておきたいアイテムがある。
レベリングには欠かせない貴重なアイテム【成長の指輪】だ。
【成長の指輪】はレア度Aのアイテムで効果は経験値2倍だ。
序盤に手に入る高レアアイテムだ――うん!絶対に欲しい。
ただ入手方法が少しだけ面倒くさいんだよな。
とある遺跡に入って謎解きを10個やった後報酬部屋で報酬を受け取らずに10分待ったら貰えるという……
ぜってー初見で入手するの無理だよなコレ……
てか良く見つけたよな…発見者は。
確かRTA走者が見つけたんだよな…それが見つかってからはRTAの完走時間が大幅に減少したって聞いたな。
俺はRTAを走った事はないんだけどな。
「遺跡のある場所はここから片道1日なんだよな……」
流石に1日家を空けてしまったらバレない訳が無い。
いっその事セドリックに頼むか?
いや、それじゃ報告されるな……
どうするか……
(コンコン)
「キース様、よろしいでしょうか」
「あぁ、大丈夫だ」
「キース様、月1度の家族での食事会の日なので、いらっしゃってください」
「あー、もうその日か」
普段俺は自室で食事を取っているが、俺以外の家族は皆一緒に食べている。
何で俺だけ1人なのかって?そりゃ居心地が悪いからだよ――まぁ、直ぐに分かるさ。
◇
「お父様、マーラ様、失礼します」
俺がそう言って部屋に入った。
父さんは相変わらず「あぁ」とだけ言って無表情だ。
マーラ様はまるでゴミを見るかのようにこちらを見ている、いつも通りだな。
兄2人は見下してニヤニヤしている。
サーラは特に何もないな。
食事会は毎回こんな感じだ。
会話は時々振られて下手に応えては馬鹿にされる。
父さんとサーラ以外はそれを楽しんでいる。
正直くそ不愉快だ。
転生前のキース・グリッドは良くこんな環境に居たよな……
こんなんじゃ、悪役にもなるよな……
食事を勧めていた時、珍しく父さんから質問が来た。
「所でキースよ、最近よく外出しているらしいが、何をしているんだ」
っっ!ばれてるのか!!くそっ、セドリックか……
バレないように気を付けていたのに……
質問して来たって事は恐らくゴブリンの巣に行った所まで分かっているんだろ?どうせ。
はぁ、仕方ない、端折りながら正直に話すか。
「はい、少しレベル上げをしてみようと思い、外出しておりました」
俺がそう言うとマーラ様は怪訝な表情を浮かべて、兄達は大笑いした。
「「ハハハハハ」」
「無能なお前がレベル上げ?意味無いって、ハハハ」
「家で大人しくしてなよ、迷惑だからさ」
俺はそんな2人は無視して食事を続けた。
「おい、てめぇ、無視してんじゃねーよ」
「ケイト兄さま、食事中ですよ、先程から少しマナーが悪いのでは」
俺がそう言うとケイトの顔が真っ赤になった。
「うっ、うるせー」
ケイトが怒って俺に掴みかかろうとした時だった。
「ケイト止めなさい、今のはキースが正しいぞ」
「いや、でも」
「ん?何か言いたい事でもあるのか」
父さんはそう言ってケイトを威圧した。
「い、いえ、ありません」
先程まで真っ赤だった顔が一気に青くなってケイトは席に着いた。
それにしても凄い威圧だったな。
父さんはどの位強いんだろうか……
(鑑定)
『名 前』:ダルト・グリッド(男)
『年 齢』:40歳
『種 族』:ヒューマン
『身 分』:公爵家当主
『レベル』:180
『体 力』:5400
『魔 力』:3300
流石公爵家の当主だな…セドリックほどでは無いがかなり強い……
ついでにカールとマーラ様も見ておくか……
(鑑定)
『名 前』:カール・グリッド
『年 齢』:15歳
『種 族』:ヒューマン
『身 分』:公爵家次男
『レベル』:30
『体 力』:700
『魔 力』:420
まぁ、カールは戦闘よりじゃ無いからサーラと同じレベルか。
(鑑定)
『名 前』:マーラ・グリッド
『年 齢』:39歳
『種 族』:ヒューマン
『身 分』:公爵家第一夫人
『レベル』:100
『体 力』:2600
『魔 力』:1300
思ったより強いんだな…正直もっと箱入り娘的なのを想像してたわ。
「それでは、食べ終わったので失礼します」
俺は鑑定を終えてさっさと席を外した。
それにしても今日はサーラが良くこっちを見て来たけど、何かあったのかな?
ていうか早く『鑑定』のランクをSまで上げたいな……
属性と単一スキルが見れないとちょっとムズムズするんだよな……
ゲームでは好きなだけ見れてたからさ。
でも単一スキルのランクアップが可能になる【スキル強化剤】はAランクアイテムだし中々手に入るような物じゃないんだよな。
この1年で手に入ればいいけど。
「今はとりあえず遺跡にどうやって行くか考えるかぁー」
てかバレてるなら別にもう気にしなくてもいいんじゃね?
バレたら自由に動けないと思ってたけど、そんな感じじゃ無かったしな。
そうじゃん!だったらもっと大胆に行動しても大丈夫じゃん!
「よっしゃーーーーーーーーやるぞ!!!!!!」
俺は大声で言ったものだから使用人から冷たい眼差しで見られた。
まぁ、いつも通りなんだけどね。
早速明日向かうか。
確か、遺跡があるのが田舎だったよな……
セドリックに頼むか……
(カランカラン)
俺は呼び鈴を鳴らした。
「お呼びですか、キース様」
「あぁ、明日少し遠出したいから馬車の用意をして貰って良いか」
「かしこまりました。それで一体どこへ行こうとしていらっしゃるのですか」
流石に聞いて来るよな……
「ちょっと最近文献で読んだ遺跡に興味が出て、行きたくなったんだ」
「遺跡ですか……」
セドリックは訝しげにこちらを見た。
「あぁ、そうだ…だから2日位帰って来れないと思う」
「さようですか。分かりました。では明日ご用意させていただきます」
「あぁ、助かるよ」
「それでは失礼いたします」
よし!大丈夫そうだな。
謎解きギミックに関しては何度もやってるから簡単に出来るし、どうやって行くか問題が解決出来たからもう大丈夫だな。
でも帰りも馬車になりそうだな――まぁ、仕方無いね。
馬車を置いていく訳にも行かないしね。
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