第20話 解明性のリメンバー2


「時空を操っているって、どう言うことだ?」


「私はこの世界で時空を管理する事を命じられた、天の者なのだ。本来はこの世界に降りる事は無いのだが、時空に生じている異常事態の収束を目的に降りて来た。」


「異常って、あのタイムループの事か?」


「そう、人間がいつものように過ごしている限りこんな現象は起こり得ないはずなのだ。でも時折、人智をも越えた人間の強い意思によって、時々このループが起きてしまう。そして今回も、その例に漏れず、このタイムループが起こってしまったのだ。」


「って事は。貴方が神様のような人ですか?」


「えぇ、まぁそうだな。大体半分くらいはそんな感じです。」


 半分くらいか。どこか含みのあるような言い方だな。


「なら、教えてくれ!!何故このループが起こってしまったんだ?」


「因果は意外とも近くにあり、遠くにある。これが起こった原因は彼ら。沖橋と高見と言う名の人たちによるのが原因だと。」


「何故アイツらなんだ?一体何があったんた?」


「まあ、まあ。そう焦るな。」


「焦るさ、仲間が窮地に追いやられているんだ。」


 シュレディンガーはため息を吐きながら俺の横のベンチへと腰掛ける。


「君の気持ちは十分分かっているつもりだが、理解し難いな。」


 何が理解し難いってんだ?


「君はタイムループの現象の中にへと居る。ならば、この永遠とも言えるこの一日があるだろう。それなのに、何故時間を気にして焦る必要があるんだ?」


 なるほど、時間は永久的にあるからそれだけ焦っているのがよくわからない.....か。違う。そんなのじゃない。

 それは、あまりにも情にかけすぎている。それが合理的な判断なのであろうが、我々人間にはそんな人を見捨てる事など早々にあってはならない。

 かと言って、確かに時間はいくらでもあると言う見方もある。だが、こんな不完全な現象だ。いつパタリとバッドエンドのまま終わっても不思議ではない。

 繰り返すのは自由だが、その分別の心配事や不運の確率を上げるだけなのかもしれない。

 或いは......


「おい、何を考え込んでいる。そんな感じじゃこの先の話が進まんぞ。」


「ああ、すまん。続けてくれ。」


「うむ。実は彼らは数十年前に、あの廃墟と同じ病院に居た者たちだ。かの有名な事件だから君も知ってるだろう。


「!?」


「あと、重要な事を教えてあげる」


「重要な事?」


 なんだ?ここに来て重要な事って。怖いぞ。


「貴方は、今のところ何回この時間軸をループしていると思いますか?覚えている範囲で良いので答えてください。」


「え、あんまり数えては無いんだけど。5回とか6回とかかな?」


 俺がそう答えると神様は深刻そうな顔をしていた。そして、また下を向いてため息を吐く。


「、、、やはりそうですか。」


「どうした?なにか、まずい事でもあったのか?」


 神様は手に顎を置いて、こちらの目を見る。そして、またため息を漏らす。


「はぁー。驚かないでくださいね。さて、もうこの際、真実を包み隠さずに言ってみれば、貴方は既にこの一日を5,121,511,592回ループしています。」

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