第19話 解明性のリメンバー

 辺りを見渡すと真っ暗な空間。その中に孤独にも立ち尽くすのはただ俺ひとりのみであった。

「どこだ?ここは?」

 すると、目の前に靄の様なものがあらわれる。その霧のような物は人型で、まるで人のシルエットのように映し出されてある。

 例えるなら、かまいたちの夜みたいなシルエットになっていると言えば分かりやすいですあろう。

 そして、そのシルエットはこちらに段々と近づいて来て、俺に言葉を投げ掛ける。

「ニンゲンよ。午後5時に、一人で立木の公園に来い。それは、お前の道が開かれることになり得るヒントを与えられんとす。」

 その人型靄が不気味にもこちらをニンゲン呼ばわりしながら、指示をする。俺はさっぱり訳が分からなかった。

「辛いであろうが、これも運命なんだ。それも私の責任なのかもしれないけれども。」

 誰.....だ?

「悪いが、今は長くしゃべることはできん。時間が限られている。」

 俺はだんだんと全身の力が抜ける感覚を覚えた。そして、微かな声が聞こえてくる。

「それでは、過酷な一日へ。どうぞ。reviver」

 霞んで見えたそのシルエットがどんどん明るみになっていた。しかし、顔が見える直前に俺は目を覚ました。



「はっ!?」

 思わず布団から飛び出した。どうやらさっきの謎の声の正体は夢のようなものであったらしい。

 だが、午後5時か。何も無いとは思うが行ってみても良いのかもな。もう、俺は希薄な望みですら信じなければならないからな。

 そして、放課後に差し迫った5時間目の休み時間。玲がこちらに話しかけてきた。


「ねぇ、今日はどうするの?」


「そうだな......今日は敢えて、いつものように廃墟に向かうルートにへと進もう。俺は18時前に向かう。」


「でも、大丈夫なの?このままじゃ、また前と同じようにアイツにやられるんじゃ......」


「大丈夫だ。なんとかして見せる。」


 こんな言葉を放ったものの、それは17時の可能性に賭けたものにすぎない。さらに、今日はあの、沖橋がそもそも学校にへときていない。それは日中の俺にとって好都合であるが、何処でアイツと出くわすかもわからないからかなり怖い。


「......わかった。信じてるからね。じゃあ、今日の18時に会いましょう。」


 そして、学校も終わり。放課後になり、俺は謎の人物との約束通り立木公園にへと足を運んだ。

 公園には誰も居らず、少し異様な雰囲気を醸し出されていた。

 そして、俺は公園のベンチに腰掛けた。数分間たった後、風が急に強くなり、粉塵が辺りに撒き散らかされる。

そして、その中から出てきたのは金色の髪色をした少女であった。

 その少女はぱっと見は俺よりも年下であろう風貌をしており、スレンダー美少女であった。しかし、何処か不思議なオーラを放っていた。こう、同等の生物とは違う、何処か上等生物な気がした。


「ようこそ、来てくれたな。貴方が、カズさんか?」


「ああ、そうだ。」


「私はこの世界の時空を操る者。シュレディンガーだ。」


 既に俺の名前は把握済みって訳か。これは本物かも知れないな。

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