第5話 真実性のメンタリズム5
学校が終わった後の帰り道の途中、俺はいつもの自販機でジュースを買った。
当たり付きのワンコイン自販機なんだけど、今まで当たったことなどは一度も無かった。
それどころか他人が出しているところも見たこともなかった。
しかし何と今日、今、この瞬間、ジュースが一本貰える抽選に当たった。
当たったんだよ!!いやぁ、本当についてるぜ。
しかもなんとな、噂によるとこの自販機当たる確率は99分の1らしい。
いやぁ、このまましばらく何か良いこと立て続けに起こりそうだなぁ、なんて思っていた。
さて、長いながーい帰り道を通って無事お家に帰ってきた。
母さんに作って貰った愛たっぷりの夜飯食べて、1番にお風呂に入ってホカホカしていた所だ。
通称バスルームin真ポカポカタイムっ!! . . . . . これが俺の家に帰ってからの、いつもとなんだ変わりのないただのルーティーン的な事だ。
そして突然、俺は何かの拍子に、明日から始まる新放送のアニメの事を思い出した。どうやら今期の覇権候補らしいのでとても楽しみにしている。面白そうだから是非みてみたい。だからちゃんと、予約しなきゃ、という謎の使命感を持ちながら俺はテレビを速攻でつけた。
するとこんな時間にニュースがやっていた。ニュースでは何やら物騒なことを言っていた。見るからに、どうやらこらは俺の地元の事件らしい。この航空写真はかなり見覚えのある場所だ。
まったく、最近ここも治安がどんどん悪くなっていくぜ。割れた車でもあったのかよ。
「臨時ニュースです。高田市馬場町で今日午後6時半頃、廃墟になっていた、旧馬場病院の敷地内で、間律中央高等学校の生徒3人の遺体が見つかりました。遺体の内1人は高見さんのものと見られていますが他2人は全くの原型をとどめておらず、警察は二人の身元確認を急いでいます。現場には凶器と見られる物が次々と発見され操作は難航しているそうです。以上でニュース速報をを終わります。」
「嘘...だろ。はっ?えっ、あいつらが...そんな、なんで...」
思わず声が出てしまう。その遺体は俺の友達。身近な奴だ。
少し前まで会っていた友達の死を今ここでニュースで知ってしまった。
俺はこんな事、信じたくなかった。
これはなにかの嘘だと思いたい。
或いは、
ーこれはきっと悪い夢だ。
しかし、そのニュースはあまりにもそれに当てはまりすぎた。
紛れもない完全なる事実だ。覆りようのない事実だ。
俺は泣いた。
久しぶりに声を上げて泣いた。もう訳わかんなかった。数時間前まで話していた友が死んだ。遺体となり、この世から去った。もう二度と戻らないと思うと悲しかった。
それと同時に怖かった。恐ろしかった。混乱し、絶望し、悲しみ、ぐちゃぐちゃ俺は現実を忘れるためそのまま泣きながらベッドで寝た。
現実から目を背けるにはもうそれしかない。
もう枕は涙と鼻水でベチョベチョだ。
日常とかって意外とふとした隙に急に壊れるものだ。それは物と一緒だ。どんだけ大切にしていてもキッカケさえあれば、すぐに粉々になってしまう。
そして、それは2度と戻って来ない。割れた皿は2度とは元に戻らない。
ほんと、人生で最悪な夜だった。
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