第4話 真実性のメンタリズム4

 とてつもなく長く、いつまで経っても終わる気のしないこの世で最も憂鬱な授業も、先程少し空気を読んで、ようやく終わってくれた。

 実はさっき高見が言っていたその噂とやらの事をクラスメイトに聞いて回ったのだが、皆々が口を揃えこう、言う。


「あの噂?結構有名だね。僕は信じてないけど」


「私はあんまり信じないけどー。やばいらしいね」


「ああ、聞いた事がある。どうやら、そこに行ったものは皆サンダルを落として帰って行くとか」


 そんな感じの多種多様な意見や思考を聞き出す事ができた。

 まあただ、「サンダルに関しては心霊スポットとか関係なく、お前のせいだろ。」とみんな思ったであろう。

 俺も同感だ。

 まあ、多分これだけ皆んなが高確率で知ってるって事はこの噂自体、高見が言っていた通りに、かなりこの辺りの地域の間では有名な事案んなんだろうな。謂わば、都市伝説というよりも、伝承に近しいものとなっている。

 ちなみにその幽霊の詳細についての事にも少し周りに聞いてみたが、どうやらその話によると、今からだいぶ昔昭和の末期頃に、まだその廃病院があってバリバリ現役だった頃に、ある時にある女の患者が盲腸の病気の為手術をその病院で受けていたそうだ。

 症状も軽くすぐに手術をすれば治ると医師に言われていて実際に簡単な手術であった。本来であればすぐに手術が終わる筈だった。しかし、その手術は本来なら成功するはずだったが何かの手違いか、その手術は失敗してしまったらしい。

 この話についての詳細を語ろう。


『1979年3月3日、その事件が起きた日』


 まず、その医療事故の原因の一つは担当した医師がヤブだった。

 そこでは、地域有数の名医だと謳われていた医師がなんと、ブラックジャク形式の無免許で会った事がのちに発覚する。

 しかし、その無免許医師は別にブラックジャックのようにオペが上手いわけでもなく、その知識は一般人と同等らしい。

 なぜ、そんなヤブ医者が名医だといわれたのかと言うとだな、彼は本物の医師と入れ替わったのだ。本物の医師が亡くなった頃、詐欺師であったヤブ医者がしめしめと言わんばかりに目をつけ、金欲しさに名医を偽って仕事に携わってしまった。

 衝撃だったと思うが、この事故にはもうひとつ理由があってだな、そもそもその病院自体の機械がかなりの年季もので、もういつ壊れてもおかしくない状態だったらしい。完全メンテナンス不足で、働いていた看護婦たちも薄々その事には気づいていたらしい。

 そう、聞いてわかる通り、この事故は病院による完全な管理不足であり、最早必然的な事故であったそうだ。病院側の怠惰が招いた結果だ。

 当時この事件が起きたのち、この事が世間に明るみになることにはまったくならなかった。

 何故かこの事件については地方のローカル局でしか報道されなかったそうだ。

 そして、信じられない事に、そのあとあの病院はいつも通りに運営を再開した。普通は何かしら処罰ぐらいあっても良さそうなのに何も無かった。

 しかしその後、病院のいろいろなところで、治療ミスで死んだ女の霊が化けて出るらしい。病院内を徘徊し、ベッドの下から関係者を憎む様な形相で見つめていたらしい。

 そして、その事件から暫くが経った1980年3月3日の春、そこで担当していた詐欺医師が原因不明の病で急に亡くなった。

 その詐欺医師が亡くなる前日まではなんとも無く、いつも通りだった。

 そのあとさらにそのような心霊現象が相次いで起きたため、病院は閉鎖にまで追い込まれたというわけだ。

 まあこの話、正直に言えばそれが本当ならかなり嫌な話な訳で、怖い話であるのは間違いないであろう。

 正直言って胸糞だ。

 しかし、現状の結論ではかなり聞いただけだからもはや胡散臭いとしか言えないんだけどね。

 まず、死んだのと霊が出るのとはそれはそれでまったく違う問題だ。

 化けるとしても何のためにお化けになるんだ?ずっと暇で、退屈で、誰とも話せない触ることもできない。

 どんな思いがあったとしても伝わらせることはできない。

 それって、わざわざ幽霊になる意味ないよね。

 それなら俺は天国でぬくぬくポカポカ日向ぼっこしてた方が断然良いぜ。

 これ考えたやつ小説家にでもなれるんじゃね?アイディアとしては悪くない発想だとは思う。

 推理小説とか書けると思うな。

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