第1話 真実性のメンタリズム
「ちょっと、はやく、起きなさい。学校に遅刻するぞー。」
さて、朝に情けない事に母の力強い声でお目覚めになった自分である。
母の声はどんな目覚まし時計よりも起きやすいのだ。
実際熟睡していたらどんなにうるさい音でも起きれないものなんだけれども、不思議なまでに飛び起きれる。
人間の生命本能、いや防衛本能がキチンと発動して、俺の体に働きかけているって事だろう。
古代の人間は寝るだけできっと命懸けだったであろう。いつ誰に襲われるかわからないからな。
きっと俺の素晴らしいぃぃ祖先の遺伝子を受け継いだんだろう。
俺の家の目覚ましはバカな事にMAXで120dB出る。
父母に俺が「起きないから」という事で買ったらしいのだが、その目覚ましはドッキリ用の「ばくおん!!目覚まし時計‼︎」っていうふざけた商品名のものだった。
「ばくおん!!」だと、ふざけるな。
どっかで似たようなアニメがあったぞ。
次の目覚まし時計は、自分でちゃんとニトリに行ってチキンとした正規品を買おう、と俺は心から思った。
これってあれか?、俺が「親に頼りすぎだ。己で行動を起こせ‼︎」と神サマからに、でも警告されているのかな?
それならもう、ほっといて欲しい物だ。
ちなみにその目覚まし時計は大体飛行機のエンジンの近くの音と同じ音量だ。
だから近所からのクレームが一生絶えない。というか申し訳ない。
俺はいつも目覚ましかけないんだが、母が毎回設定するから止められなくなったんだよね。
聴力が低下する可能性のある音量だから、良い子は真似しないでね。
いや、本当毎朝、眠くて眠くて堪らん。
休日で、なお時間がある時ならあと3時間ほど寝れるんだが平日の、さらに何もなく元気な時にはそう言うわけにはいかないんだ。
かといってそのまま欲望に流されて寝てしまい、遅刻ばかりし過ぎたらやばい。
留年なんてしちまったら一貫の終わりだ。出席だけはきちんとしようと決めているんだ。
はあ~、とにかくなぜ朝ってこんなにも憂鬱なもんなんだ?ホントにここ10年間まともに起きられた気がしない。
いつも寝たりなかったり、寝過ぎちゃったりしていつも気分が悪い。
気分良く寝ている時に限って早起きだ。
まったく、人間ってなかなか不便に作られているもんだ。
もし俺が神様ならもっと便利にするぜ。
だってよ、朝に弱くてなんの徳があるんだ?ただただしんどいし、めんどくさ~いだけだろ。
朝もいつも通りくらいに動けたら何人の命が守られたか。
人間寝る前に一番油断するからなぁ。
まあ、俺はどうにもこの世界や人間をつくった神様とやらとは到底仲良くなれそうに無さそうだ。
できれば関わりたくない。
さてさて、朝特有の憂鬱を持ちながら、俺は学校への支度をする。
実は俺、人生で一回も皆勤賞取ったことないんだよ。
いや、いっつも最終日の惜しい時に限って体調を崩すんだよ。
俺は生涯健康で在りたいのに。
終業式の時に、ある時は季節外れのインフル、ある時は食中毒、ある時は未知の感染症、ある時はー、..........いや、もうやめておく。
まあ、つまり俺は生まれ持っての不幸体質だってことだ。
良い99%と悪い1%があるならば俺は確実に悪い1%を引くだろう。
だから、どんなに良いシチュエーションですら真反対のウラ生地に、ひっくり返す様な男だ。
それで何回失恋したか......それはもう完全なる不幸体質としか言い様がない。
それ以外に表せない。
やっぱりそれはどうやってもひっくり返すことができない悲しい悲し~い真実だ。
しかも残念なことに俺には特殊能力もないし特別不思議な力がある訳でも無い。
俺、これでも主人公だぜ?
そして、チャリ登校の途中に猫がいた。えらい可愛い猫は俺の横を並走し、やがて姿を消した。
これはあれかな。不幸な俺にもたまにはささやかな癒しをくれてやろう、という神様からのお情けの一つなのかもしれないな。
ただ、何だろう。この猫を見たのは初めてでは無い気がする。以前にもあった気がする。
暫くその事について考えていたが、俺の中で落ち着いた結論は良くあるデジャブだろうと。気にすることも無い。
さてさてさて学校に着いた。
実は俺、こう見えてチャリを漕ぐスピードには謎の自信があるから結構すぐ着く。
だからいつも朝、遅刻しそうな徒歩生徒の人間の横をわざと通り、哀れみの表情で見るのが趣味だ。と言ったら俺は最低な人間だと思うだろう。
まあ、実際そうなんだけども、別に普段からそう思っているわけでは無い。意識した時だけだ。
でも人間誰しも綺麗事をつらつら並べていても、少しくらいは深い闇を持ってるだろう。心のアビスを持っているはずだ。
だからもう、高校生にもなると純粋な子はほんとにごく僅かだ。
たとえどんな純白な心を持った子でも少しずつ黒色が付着してしまう。
そしてどんどん穢れていく、気がする。
しかし、その穢れですらも愛してしまうのが人間のサガであり、罪でもあるのだ。
俺が通って居る高校は公立高校の、間律中央高等学校だ。
ただ家から学校までが近いという理由で選び、入学した高校だ。
俺は今2-1に所属している。一年の時は1-1だった。二回とも一組であったのだ。
だが、無理もない。何故ならこの学校、あまりにも人数が少な過ぎてひと学年1クラスしか無いんだ。これはもう明らかに現代の問題である少子高齢化が目の前まで迫って来ているという事が明白であろう。
さてさてせてさて俺はいつもど~り颯爽と教室の中にinした。
それを簡単に例えるなら「Pretty handsome」と言った感じだ。ただ残念な事に、女子からの目線は「Get out quickly」と言わんばかりの表情だった。
全く、このお年頃の女子はドライな子が多くて困るぜ。
ただまあ、それは俺の学校だけの話かもしれないけどね。
いやさ、もっと元気で活発な子がいても良いんだけどなぁ、とただの妄想混じりの理想をただただ1人、心の中で呟いていた。
それはもうかな~り寂しく、虚しいやつだ。
そして俺の席は一番後ろの左側の窓側に属している。
皆が一度は目指す教室屈指の憩いの場所であり、戦争になりかねないくらい良い席だ。
此処では授業中ゲームをしてもバレないし、寝ても何も言われない。
見つからない。
怒られない。
やはり一番前だと下手な動きを取ると目をつけられるからな、授業中やることが無くなる。
勉強は.....いや、まあでも俺高卒の予定だし、特にする事はない。
うん。
だが、暇潰しというのは中々ワンパターンであり、結構行き詰まる。
色々試行錯誤して、なんだかんだで本を読むのが一番良い。
教科書に挟んで皆んながよく分からない文を読んでいる間に俺はライトノベルを読んでいる。
はっきり言って自分でも思う。ろくでもないとさ。
まあ、そんなこんなで俺は1日をダラダラ過ごしている。
つまらないと言えばつまらないかも知れないだろうな。それでも俺にとっては良い感じの日々を過ごしているんだよ。
永久に学生を味わいたい位だ。ただ、残念な事に時間に抗うことは出来ない。
どうしても、いつかは過ぎてしまうのであるのだ。
さて、もうじき朝のホームルームが始まる手前のチャイムが鳴るくらいの頃合いになった時、急に扉が思いっきり開いた。この開け方、このギリギリな時間帯。アイツだな。
「おはよー。」
「ああ、おはよう。」
今軽い挨拶を交わしたのが俺の多分俺の1番の親友でもありクラス1の奇人「高見」だ。
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