第6話
烈たちはリオを追い、アメリカに向けて航海を続けていた。しかし、その途中で情報を得た彼らは、リオが次に大阪に現れるという確かな噂を耳にした。大阪は烈にとっても馴染み深い場所であり、彼は過去にそこで何度も危険な任務を遂行していた。しかし、今回はそれ以上に困難な試練が待ち受けている予感がしていた。
***
烈と美咲、そして向井は、すぐに船の航路を変更し、大阪に向かうことにした。大阪に到着した彼らを出迎えたのは、片桐竜次という名前の男だった。片桐はかつて烈と共に戦ったことのある仲間で、現在は大阪の地下組織で「竜の片目」として恐れられる存在だった。
「久しぶりだな、烈。お前が追っているリオのことは俺も耳にしている」片桐は烈に向かってニヤリと笑った。「だが、この大阪でリオを見つけるのは簡単なことじゃないぜ。奴は地獄のような場所に身を隠しているらしい」
「地獄?」美咲が驚いて尋ねた。
「そうだ。大阪の地下には、古くから『地獄』と呼ばれる場所があるんだ。そこは犯罪者や詐欺師が集まる闇市で、外部の人間が簡単に入れる場所じゃない」片桐は低い声で説明した。
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烈たちはその「地獄」に潜入するため、片桐の助けを借りることにした。片桐が手配した雨傘を片手に、彼らは大阪の暗い路地を進んでいく。その道中、片桐は烈に小声で言った。
「リオはクレイモアを持ち歩いているという噂がある。注意しろよ。奴はただのガンマニアじゃない。爆発物にも精通しているらしい」
「爆発物か…油断はできないな」烈は覚悟を新たにした。
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大阪の地獄の入り口にたどり着くと、彼らは見張りの目を逃れるため、片桐が用意した偽の身分証を使い、詐欺師として潜入を試みた。地獄の中では、様々な人物が闇取引を行っており、鹿の角やクレイモア、そして他の違法な品々が取引されていた。
「ここにリオがいるはずだ」片桐が静かに囁いた。
烈たちは慎重に辺りを見回しながら、リオの姿を探した。そのとき、不意に背後から声がした。
「やっと見つけたぜ、烈…」
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その声に振り返ると、そこにはリオが立っていた。彼の手にはクレイモアのリモコンが握られており、顔には不気味な笑みが浮かんでいた。
「この場所から生きて帰れると思うなよ。俺はこの『地獄』を、お前たちごと吹き飛ばしてやるつもりだ」
烈はすぐに状況を把握し、リオに向かって叫んだ。「こんなところで全てを終わらせるつもりか!」
「終わりがあるからこそ、面白いんだよ」リオはその言葉と共に、クレイモアのスイッチに指をかけた。
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しかしその瞬間、片桐がリオに飛びかかり、リモコンを奪い取った。激しい格闘が始まり、烈と向井も加勢した。美咲はクレイモアの爆発を防ぐため、リモコンを遠くへ投げ捨てた。
「この地獄でお前に終わりはない!」烈はリオに向かって叫び、彼を追い詰めた。
リオは最後まで抵抗し続けたが、ついに烈たちの手に落ち、拘束された。
***
「やっと終わったか…」片桐は息を切らしながら、地面に座り込んだ。
烈はリオを見下ろしながら言った。「これで一つの区切りがついたな。でも、まだ俺たちの戦いは終わっていない」
リオを捕らえた烈たちは、彼の背後にいる勢力を追い、さらに大きな陰謀に立ち向かう決意を新たにした。
笑撃の迷宮QUEST6 鷹山トシキ @1982
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