第5話

 烈、美咲、そして向井がアメリカへ向かう準備を進めていた頃、港の近くで不穏な動きが見られた。港の倉庫の奥、薄暗い部屋の中で、一人の男が銃を磨いていた。彼はリオと名乗るガンマニアで、武器に対する異常なまでの執着を持っていた。彼の前には無数の銃器が並べられており、手元には銀色のナイフが輝いていた。


---


「今度の獲物は、なかなか手強そうだな…」リオは銃を磨きながら、低く笑った。


一方、烈たちは理恵の指示に従い、港からアメリカ行きの船に乗り込む準備を進めていた。美咲は船室のふすまを開けると、そこには日本のバラエティ番組でお馴染みのキャスター、新井恵理那が立っていた。彼女はなぜか船に乗り込んでおり、険しい表情をしていた。


---


「新井恵理那さん?どうしてここに?」美咲は驚きながら尋ねた。


「実は私、リオという男に狙われているの。彼はただのガンマニアじゃないわ、何か大きな陰謀に関わっている。私はその情報を得るために彼を追ってきたの」新井恵理那は真剣な眼差しで語った。


---


「リオか…俺たちも彼のことを知っている。危険な男だ」烈は眉をひそめた。


「彼はただのガンマニアじゃない。彼は裏の世界で名を知られた殺し屋でもある。彼が手にするものは銃だけじゃない、ナイフやマサカリまで使いこなす恐ろしい男だ」新井恵理那はリオの恐ろしさを説明した。


---


 その時、船内に異変が起きた。船のエンジン音が止まり、暗闇の中で不気味な静けさが広がった。向井が警戒しながらふすまを開けると、リオが銃を手にして立っていた。


---


「おいおい、こんな狭い場所でナイフやマサカリを振り回すつもりか?」烈は挑発的にリオに言った。


リオは冷笑を浮かべた。「俺は武器を選ばない。ただ、狙った獲物を仕留めるだけだ」


---


 リオは瞬時に銃を構え、撃とうとしたが、烈は素早く動き、リオの手元のナイフを蹴り飛ばした。だが、リオは怯むことなく、マサカリを手に取ると烈に向かって振り下ろしてきた。


---


 激しい戦闘が始まり、ふすまが飛び散る中、烈とリオは激しくぶつかり合った。美咲と新井恵理那もその場に駆け寄り、烈を援護しようとしたが、リオの攻撃は熾烈を極めた。


---


「こんなところで終わるわけにはいかない!」烈は全力でリオの攻撃をかわし、反撃に転じた。


 船の中は騒然となり、次第に戦闘音が響き渡った。向井が援護射撃を試み、リオの動きを封じようとするが、リオの技術は超一流だった。


---


「リオ、ここまでだ!」烈が叫び、リオの持つ銃を叩き落とした瞬間、リオは不敵な笑みを浮かべた。


「まだまだ、これからが本番だ」リオは倒れながらも、ポケットから小型の爆弾を取り出し、烈たちに向かって投げつけた。


---


「くそっ!」烈が叫んだ次の瞬間、爆発音が船内に響き渡った。


 爆煙が晴れると、リオの姿は消え、残されたのは破壊された船室だけだった。


---


「逃げられたか…」烈は悔しそうに呟いた。


「でも、まだ彼の痕跡を追うことができる。彼の次のターゲットが分かれば、また彼を追い詰められるかもしれない」新井恵理那は冷静に言った。


---


「この戦いはまだ終わっていない。アメリカに向かって、リオの背後にいる勢力を暴き出すぞ」烈は決意を新たにし、再び旅立つ準備を始めた。


 彼らは新たな危険に満ちた任務に向かう中、それぞれが抱える覚悟と共に、アメリカへの航路を進んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る