第2話
烈と美咲は、古びた劇場の楽屋で舞台の準備をしていた。数年ぶりの漫才コンビ復活ということで、二人とも少し緊張していたが、それ以上に再び一緒に漫才ができることに喜びを感じていた。
烈がネクタイを締め直しながら言った。「美咲、久しぶりだな。でも、覚えてるか? 俺たちが最初にやった漫才のネタ」
美咲は少し笑って答える。「もちろん覚えてるわ。でも、あの頃の私たちと今の私たちは違うから、少しアレンジしないとね」
「そうだな、今の俺たちにしかできない漫才をやろう」烈が笑顔で答えた。
二人は最後のリハーサルを終え、いよいよ本番の舞台に立つことになった。観客席にはかつてのファンたちや、新たな観客たちが期待を込めて待っていた。
舞台に上がった瞬間、スポットライトが二人を照らし、観客から大きな拍手が沸き起こった。烈が一歩前に出て、マイクを握りしめる。
「みなさん、今日は僕たちの漫才を見に来てくれてありがとうございます!」烈が明るく声を上げる。
「お久しぶりです!美咲です!」美咲も元気よく挨拶をする。
「さて、美咲、久しぶりに一緒に漫才やるけど、ちゃんと準備できてるか?」烈が問いかける。
美咲はニヤリと笑って答える。「もちろん!でも、烈さん、あんたのボケが年取ってないといいけどね」
観客が笑い声を上げる中、烈はすかさず返す。「年取ってるのはお互い様だろ!でも、その分、味が出てきたってことで!」
「なるほど、味が出てきた…でも、それって焦げ臭いってことじゃないの?」美咲がツッコミを入れると、観客から大爆笑が巻き起こる。
二人は絶妙な掛け合いを繰り広げ、まるで時間が戻ったかのように、かつてのテンポと笑いを取り戻していた。烈の鋭いボケと、美咲の的確なツッコミが絶妙に絡み合い、観客を笑いの渦に巻き込んでいく。
終盤、美咲がふと感慨深げに言う。「でもさ、こうしてまた一緒に舞台に立てるなんて、本当に嬉しいね」
烈も少し照れくさそうに答える。「ああ、そうだな。これからもずっと、こうやって一緒に笑いを届けていこう」
最後に二人は息の合ったポーズを決め、観客からの大歓声とともに漫才を締めくくった。
舞台を降りた二人は、満足そうに顔を見合わせた。これからも、烈と美咲の漫才は続いていくことだろう。
烈と美咲の漫才が終わった後、二人は楽屋に戻り、疲れを癒やしていた。リラックスした雰囲気の中、突然、烈のスマートフォンが鳴り響いた。画面には「向井」と表示されていた。
「向井からだ。久しぶりだな…何かあったのか?」烈は電話を取り、通話を開始した。
「烈、久しぶりだな。今すぐ会いたい。重要な話がある」向井の声は緊張感に満ちていた。
「わかった、どこに行けばいい?」烈はすぐに答えた。
向井は深刻な声で場所を伝え、電話を切った。
「どうしたの?」美咲が心配そうに尋ねる。
「向井が呼んでる。なんだかただ事じゃなさそうだ」烈は真剣な表情で答えた。
二人は急いで車に乗り込み、向井が指定した場所へ向かった。そこは郊外の貨物列車の操車場だった。到着すると、向井が車の近くで待っていた。
「向井、一体何が起こったんだ?」烈は車を降りてすぐに問いかけた。
「烈、美咲、君たちの助けが必要だ。アメリカから重要な貨物がこの列車で運ばれてくるんだが、それを狙ってる奴らがいる。どうやら、この貨物にはただの物じゃない、何か…生物らしいものが含まれている」向井の言葉は緊張感を増幅させた。
「生物って…まさか…」美咲が不安げに言った。
向井はうなずき、ポケットからタブレットを取り出し、映像を見せた。それは、粘性のある物体がドラム缶に封じ込められている映像だった。その物体は微妙に動き、スライムのように形を変えていた。
「これが貨物の中身か?」烈が驚いて尋ねた。
「そうだ。アメリカ政府の極秘プロジェクトだ。スライムと呼ばれているが、その正体はまだ解明されていない。これが何者かに盗まれれば、世界は大混乱に陥るだろう」向井は深刻な口調で説明した。
「それで、俺たちに何をしろって言うんだ?」烈は向井を見据えた。
「列車が到着するまで、敵を寄せ付けないことだ。君たちには射撃武器を用意しておいた。狙撃の技術は知っているはずだ」向井は武器ケースを開け、二人に最新型のライフルを手渡した。
「やるしかないってことか…」美咲は覚悟を決めた表情でライフルを手に取った。
そのとき、遠くから貨物列車の音が聞こえてきた。列車はゆっくりと操車場に入ってきたが、その瞬間、数台のロールスロイスが視界に現れた。敵はすでに動き出していた。
「岐路に立たされている。ここで守りきるか、それとも全てを失うか」向井が険しい表情で言った。
「どちらを選ぶかなんて決まってる」烈はライフルを構え、敵に照準を合わせた。
美咲も同じく武器を構え、烈に続いた。「あんたと一緒なら、どんな敵でも負ける気がしない」
列車の周りで、激しい戦いが始まった。烈と美咲は息を合わせ、次々と敵を倒していった。向井もまた、彼らの背後から援護射撃を続けていた。
列車が無事に停車し、貨物が安全に運び出されたとき、烈と美咲は安堵の表情を浮かべた。だが、その先に待っているのは、さらなる困難だった。
「これが終わりじゃない。次はアメリカだ」向井が二人に告げた。
「アメリカか…また新たな冒険が始まるな」烈は微笑んで言った。
こうして、烈と美咲は再び新たな戦いに身を投じることを決意した。スライムを巡る謎と敵の真の目的を探るため、彼らの旅は続いていくのだった。
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