ヘナ2
一体、何とかジャンク品を投げつけて叩き落とし、翅脈をちぎって自分の肩に接続。
「魔素供給が断____」
光を失った虫の頭を蹴り砕くと中からワインの様な色の液体が足にべったりと貼り付く。
「・・・・・・・使いにくいゴミ。」
接続した翅脈から吸い上げられる魔素の流れ、即ち『魔力』にすさまじい倦怠感を味わわされる。
「仲間の兵装で死になさい…」
一度光の柱が横薙ぎに走り、街の影を強く。
羽虫が如く散る妖精の破片と灰が、パラパラと降り注いだ。
一発で魔素残量をすべて使い切り、全機能が一時停止。
「ピピッ…再起動いたします___起動完了…」
少ない再起動用の魔素を空中から回収し、アンカーで地中から汚染魔素を吸い上げる。
「あ゛ぁ゛ッ!マッズ!オラッ!二発目くらうかァ!?」
魔素そのものに味と呼ばれるモノは無い、無味無臭の物質だが、汚染魔素は使用する際に重さを付与してしまう。
私達には冷えた揚げ物を食べる感覚に近く、好きな自動人形も居れば、私のように嫌いなモノも居る。
「細分化ッ!ターゲット複数捕捉完了。」
光の矢は、それがさも当然と言いたげに躊躇いなく降り注がれ、被弾は13、相手の命中率は高くない。
こちらも反撃の黒い矢を翅脈からそれぞれに撃ち返す。
撃ち数12、命中11。
最後の一機を撃ち損ね、勿論撃たれる。
「そんな…」
この光景が幻だと、思った。
私の前に立ち塞がって守ったのはご主人様の旦那。
「…」
「ダメです!今すぐ治療を!」
皮膚が融解し、中は焼ける。
私達の合金を貫ける光を受けて無事な訳も無く、その場で2秒と持たずに絶命を確認した。
今や何故庇ってくれたのかも聞きようがない。
「再捕捉完了。sy_______」
妖精の頭蓋に繋がれた20の糸。
ビュンとそのまま地面に叩きつけられ、虫の様に潰れた。
「大丈夫かHe型…ヘナだったか。」
「ヒ、ヒース?」
万能型自動人形H型、ヒース、戦闘から雑務まで、理想を詰め込んだブルジョワ機体。
「待っていろ、すぐに片付ける。」
もうすべて私が落としたと思ったのに、降りてくる翅が見えると同時に、胸に強い違和感を覚え、見ると、ケーブルくらいの糸が突き刺さり、フレーズを阻害、起動できない様にされている。
「此処までお荷物扱いか…辛すぎ。」
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