第2話 運命の日
翌朝・・・いつも通り両親は既に居なかった父は出張と言ってたし、母の仕事は朝早くて夜遅い
その代わり昼間は家に帰って休憩して再び仕事という生活だ
その為・・・
「お、おはよう・・葉子・・・」
「あ!お早う、はじめ!」実は昨日に風呂の前で『明日から恋愛対象として意識してもらいたいし、名前で呼ぶから!』と宣言されてこうなってる・・
「どうしたの?ご飯もうじき出来るから座ってまってなよ?」制服姿にエプロン、いつも見慣れた義妹の姿にドキドキして自然とその唇に目が行く
「え~~?な~にぃ~さっきからコッチをチラチラ見てぇ~」テキパキと使った調理器を洗って棚に収納していく葉子はとっくに気付いてる様だ
「え・・・いやぁ~まぁいきなりの名前呼びに慣れないつーか、ドキドキしてるつーか」
「へぇ~~」手を止めて蛇口を締めてエプロンの裾で軽く手を拭くと、俺の元まできて首に腕を絡める
「はじめに女性として意識して貰えてるって事かな?」そう悪戯っぽい笑顔でキスを・・・・俺の頬にする
「朝だしね!」ウインクしながらエプロンを外すと簡単に料理をテーブルに並べる
少しぎこちない二人きりの朝食を終え、学校に向かうのだが・・・
「な、なぁ・・これは流石に不味くないか?」
「えぇ~~なにが?普通だよ?ふ・つ・う」
俺の腕に絡みつき大きすぎる胸が腕を挟んでる「葉子・・当たってるし・・」
「ああ、いいよ~きにしな~い」(俺は気にするんだが・・)
そして最悪の遭遇だ・・・・
「あ!はじめちゃん、お早う・・・てっ・・・葉子ちゃんどうしたの?」
「ん?なぁ~に、紫苑?私なんか変?」
「変というか・・・何時もより酷いというか・」
「はぁ~~私、フェアじゃないの好きじゃないから、紫苑には伝えるね」
(おいおい!まさか、まさか、まさか・・)
「私も昨日、はじめの事好きだって伝えたの」
「え!?私もって・・・そう・・・そう言う事・・はじめちゃんは・・本当に女心の分からない唐変木だね・・はぁ~」
「でも私も諦めるつもりないよ?」そういうと葉子と反対の腕に抱き着く紫苑
「し、紫苑!?」
俺の胸元で睨み合う二人に半ば呆れ(歩きにくい・・)ながら学校に着くと
「よぉ――す、て、はじめぇぇぇぇなんだなんだ!!この状況!!お前どういうことだぁぁぁ!説明しろぉぉぉ」
俺の事を指さし怒りと驚きの入り混じった声を挙げる翔・・
「あぁぁまた部活の時に説明する・・・」
「そうだな、キッチリ説明してもらおう」
「げぇ大樹・・お前もか・・・って、わかったよ!」
放課後・・・・
「て訳になったのよ・・・」二人に経緯を説明すると二人とも黙ってしまった
暫くの沈黙の後で大樹が口を開く・・・
「で、はじめ・・・二人に返事はしたのか?」
「いや―――それが、突然の事で気持ちが追い付かない・・・だから返事はしてないかな・・」
「そうか・・・どっちにしても二人の内どちらかは傷つくな・・でもお前は選択しなければならない」
しかし、選択しようにも何をどう決めたら良いのか俺には分からない・・
「俺決める自信ねぇよ・・・はぁ~」
すると今まで黙ってた翔が俺の胸倉を掴み見たことのない表情で俺を睨む
「はじめ!!お前!!あの二人がどれほどの勇気をふり絞ってお前に告白したのか分かんねーのか!!」
俺の事を責めだす翔にイラっとする
「はぁ?何でお前にそんな事言われなきゃならねーんだ!俺だって悩んでいるさ!」
「だったら、悩んで悩んで悩んで後悔しながらでも答えを出せよ!!」
「うっせ――――よ!でめぇには関係ないだろうがぁぁぁ」
「関係ないだぁぁぁいいか!俺はな!!「翔!!!それ以上は言うな!」翔の肩に手を置いて睨みを効かす大樹の表情に冷静さを取り戻り俺の胸倉から手を離す・・
「なぁはじめ・・・今回の事は俺も翔に同意見だ、二人の為にも・・・お前自身の為にも真剣に悩んで答えをだす事を望む」
そう言うと大樹は翔の肩を叩き部室から出て行った・・・
(俺だって・・・ちゃんとしなきゃって判ってるんだよ・・・・判って・・・・)
それから一週間は、二人にそれぞれことわり紫苑と葉子とそれぞれとデートをしたり食事にいったりした
部屋に帰ると二人との思い出の詰まったアルバムを眺めて思い出に浸る日々
そして・・・・・
『葉子・・今日家に帰ったら話がある・・・』
『紫苑・・今日の放課後話がある・・・』
そう二人に電話で伝え、『分かった』と二人から返事を取り付けると、いつもより1時間早めに一人で学校に向かう
そう運命の日・・この日すべてが終わり・・・そして始まる
朝の登校は少し肌寒い、歩道を歩く人も疎らだ・・すると反対の歩道を歩く2人と1匹・・・
小さい子供とお祖母さんか?犬の散歩か・・・
お祖母さんは結構厚着だが小さい子供の方は少し薄着だ何やらお祖母さんに駄々をこねてる様だ大方「さむい!」とでも言ってるのか?
お祖母さんの方は少し困った様子だが、孫のいう事なら叶えると言うのが世のお爺さんお婆さんの理らしい
お祖母さんは自分の手袋を脱ぎ孫に渡している嬉しそうに受け取ると、小さな子供は犬のリードをお祖母さんに渡そうとしたその時
タッタッタッと犬が駆け出し、車道を横切り俺のいる歩道に向かい走ってくる
「ああああ、ミント~まって~」小さな子供も犬を追いかけ走りだした
「あああ待ちなさい!!」お祖母さんの悲痛な叫びの前に俺は走り出していた
「あぶな――――――い!?!!!」咄嗟に前に出した手で女の子を押し倒し自分が車道に倒れる横を向くと目の前に車のバンパーが
【ドッッン!】【キィィィィ】車の急ブレーキの音が先で聞こえる・・・・俺・・目の前は真っ暗になる
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