君の事を決してわすれない

nayaminotake

第1話 幼馴染みと義妹からの告白

前置き


田舎王子と6人の婚約者のスピンオフ作品です

作中で亀山 鈴 著書という位置付けです



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花田 はじめは、都内の公立高校、青咲高校に通う2年生だ、小さな頃からサッカーが好きで小中高とサッカーにのめり込んでいる


「はじめーこっちフリーだ!」そう軽く手を挙げてDFを交わしながら攻撃ラインを押し上げるアイツは高田 翔 地区の予選大会の得点王だ


【バシュ!】俺が右足を振り抜くと走り込んでる翔の胸元に吸い込まれ、翔はワントラプするとそのままボレーでDFラインの隙間を縫ってゴールネットを揺らす


「ナイスアシスト!はじめー!」「ナイシュー!翔!」


俺らは互いに人差し指を立てて1点とアピールしながら自陣に戻ると


「はじめ、DFラインをもう少し下げるべきだな」そう俺へ語りかけてきたのが大山 大樹チームの要のリベロで今年から新キャプテンとして皆を引っ張ってる


「はぁぁぁ?大樹!!俺の華麗なシュート見ただろ!ここは俄然攻勢に出る場面だろ!!」


俺と大樹の会話が聞こえたのか翔が大樹に食ってかかる


「翔・・・お前の動きに他のFWもMFもついていけてないだろ?、お前、前回の大会で何回オフサイド取られたか忘れたのか?」


「んなもん!DFラインの前でパス受けて俺がドリブルで突破してやら!」


息を巻く翔を無視して大樹は俺に確認する


「はじめはどう見る?相手・・・練習試合とはいえ前回ベスト4だ結局ベスト8の俺らとは当たらなかったが・・・」


俺は相手ベンチをチラッと見ると、顔と名前をしってる数名が控えているのを確認した


「大樹・・あちらさんはどうやら肩慣らしに内と練習試合組んだらしい・・」気付いたのか大樹もベンチの方をみると


「はぁ・・どうやらその様だ・・だから此方も手の内を見せないほうが良く無いか・・」


確かに先の事を考えれば大樹の選択も間違ってない・・・・が


「はぁ?マジか!舐められてままにしてられるかよ!おい!はじめアイツ等に俺らを舐めてた事後悔させてやろうぜ!」


「・・・・なぁ大樹、そもそも大会メンバーを引きずり出さないと俺らだけが手の内バラしてるだけで何のメリットも無いんじゃないか?」


「・・・まぁはじめのいう事も一理あるが・・」


「翔の頭の中は別として、奴等を引きずり出すって所は賛成だ」


「なるほど・・判った・・出来れば後半にはお出まし頂きたいもんだな」




それからも俺達の攻勢は止まらず、前半終了時には3対0で俺ら優位で折り返した


「はじめ、お疲れ最後のロングシュート凄かったね!」


「ああ、ありがとう、しおん」


そう俺にタオルを差し出す、マネージャーの双木 紫苑 少し癖のある長い髪を後ろで束ねている、大きな瞳と抜群のスタイル、アイドルだと言われたら誰もが納得する我が校の2大美女の一人で俺の小さい頃からの幼馴染だ


「ねぇ練習試合終わったら今日はもう練習無いよね・・久しぶりに二人で行きたい所があるんだけど」


「ん?どうしたよ?改まって・・まぁ特に予定も無いから構わないよ?」


そう返事すると少し恥ずかしそうに俯きながら頷く紫苑


「なぁぁぁ!紫苑ちゃん!俺のシュート見てくれたぁ~?」


「あ、ああ、丸山君も2本とも凄かったね、ナイスシュート!」


「おお!ありがと!!!じゃさ、頑張ったお礼の今日俺とデートしてよ!!ねぇいいだろ?」


「あ、いや・・・ごめん・・今日はその・・」


紫苑の申訳なさそうな表情を見て俺は翔の肩に手を乗せて「あぁ~ざぁんねんでしたぁ~紫苑は今日俺とデートする約束だからよぉ~」


そう揶揄うと「はぁぁ、てぇめぇ~~はじめ!幼馴染特権をこんな所で行使するなよ!!葉子ちゃんに言いつけてやる!」


「あ!てっテメェ!!葉子は関係ないだろ!!」


「はぁ~?関係ないだぁ?あんなブラコンの義妹居て関係ない訳ないだろ?」


「・・・・・・・」「おい大樹も何とか言ってやってくれ!この女たらしに!学校の2大美女をわが物にする極悪非道な悪魔に!!」


「・・・・お前等・・ハーフタイムは有限だ体を休ませるのも選手の役目だぞ・・・はじめも・・いちいち反応するな・・・」


「アハハ、悪い悪い・・・翔も後半たぶん奴らがでてくるから本気で行くぞ!」


「おう!余裕だ!!」


「・・・・はじめ・・・葉子君を悲しま・・・いや・・・頼んだぞ二人とも」




後半に入ると俺達の予想通り、大会メンバーが全員出張ってきた・・・


「くっパスが読まれる・・・」


「DFラインを下げるぞ!!、はじめもボランチに!」


「なんだよアイツ等・・DF共の動き・・前半と全く別物だな・・」


後半残り2分


3対4 俺らは逆転されていた・・・しかし翔が厳しいマークからファールを捥ぎ取りフリーキックのチャンスだ


「勿論俺が決める!!」


「いや・・・俺がいこう・・・」「なっ!てめえぇはじめ!俺が捥ぎ取ったファールだぞ!!俺が蹴るにきまってる!!」


「お前その足でまともに蹴れるのか?」おれは翔の左足首を指さすと「はぁ?こんなの何でもあるかよ!良いから俺に蹴らせろ!」


すると大樹が翔の胸倉を掴み睨みながら言う


「翔・・舐められて悔しいのはお前だけじゃない!俺もはじめもここに居る全員だ!このフリーは俺らの意地だ、万全なら間違えなくお前に託すさ、だが今自分に言い訳が出来る状態のお前に本当に託していいのか」


「・・・・・ちっ・・・はじめ・・決めろよ・・・」そう俺の肩を軽く叩くとベンチにさがり、紫苑や他のマネージャーの治療を受けていた


その時に紫苑と目が合うと、笑顔でサムズアップしてくれた


ボールをフィールドに置きゆっくりと距離を取る、スゥ――――と息を吐くと


一気にボールの元まで走り込み右足で蹴り抜くと、ボールがディフェンスの壁を超えゴールの枠を外した様に見えた



【バシュッ】ボールは途中で軌道を変えて、ゴールポストの左上に吸い込まれた


「ナイス!ゴール」俺は大樹の出して手を叩き笑顔で頷く、ベンチを見ると横になり治療を受けてる翔が親指を立ててウインクしてる


「きややぁぁぁ!花田先輩―」「はじめく~ん!」「素敵ィィィ」いつの間にか増えたギャラリーに苦笑いして、紫苑に応えると少し膨れてソッポを向かれた・・・



その後相手のオフェンスが始まると同時に試合終了のホイッスルが鳴る


4対4 引き分けだった


「勉強させて頂きました・・・」相手のキャプテンに頭を下げてお礼を言う大樹


「いえいえ、此方こそベスト4等と言う過去の栄光に胡坐をかいていたのが良くわかりました」


「最初からベストメンバーで出たて来られたら、うちに勝ち目はないでしょうね」


「そうですか?我々にも青高の3皇帝の名前は聞こえてますよ? キング?」


「やめてください・・そんな大層な名前」


そうお互いの健闘を称え二人は握手して、練習試合は終わった


【先輩達の仇名も有名になってたな!】


【キング: 大山大樹、 帝王: 高田 翔  皇帝: 花田 はじめ】


【カッコいいよなぁぁ、3人ともイケメンでモテモテだしな!】


「こら!一年!グラウンドの整備を早くしないか、先輩が先に始めてるはどういう事だ!!」


【【【はいぃぃ!今いきます!】】】






〇放課後の帰り道


「はじめちゃん、お疲れ様2得点おめでと!」


「有難う、紫苑もお疲れ様」二人で放課後に出かけるのは久しぶりだ


「ところで紫苑?行きたいとこってどこ?」


「うん、昔よく行ってた公園・・もうすぐ取り壊されるって聞いたから・・・はじめちゃんと行っときたくて」


「あ~ぁ、あの公園、潰されるのか・・・残念だな・・」


二人で小さい頃に遊んだ公園のベンチで寛ぐ


「ほい!紫苑は紅茶だよな」「ああ、ありがと!はじめちゃんは・・・あら?いつの間にブラック飲めるようになったの?」


「はは、最近な・・・にげぇぇ~」


「ぷっ、無理するから~ほら私の紅茶少し飲んで良いから」


口直しに少し紫苑の紅茶を口に運ぶと先ほどの苦さもあって凄く甘く感じた・・


「ふぅ~~ありがとよ、所で話ってなんだ?」


話を切り出すと、少し俯きながら言いにくそうにしてる辺りはすっかり夕焼けだ・・・


どの位待っただろう、数分なのか数秒なのか・・・おれはこの静かに流れる時間も悪くないと思っていた




「あのね・・・私、はじめちゃんの事が好きなの・・・」


「うん知ってるよ?子供のころから言ってたじゃない?おれも紫苑が好きだよ?」


「違う!!そうじゃなくて、はじめちゃんを異性として好きなの!そ、その・・幼馴染じゃなくて恋人になって下さい!」


突然の告白に、口に運びかけたコーヒーを落してしまった


足元で暴れるコーヒー缶・・・「え?えと・・え?・・あれ?え?」


俺の困惑する様子に涙をうっすら浮かべて微笑む紫苑・・・



「うん、今すぐ答えが欲しいとかじゃないから!私が勝手に今日告白するって決めてただけ、だけど私の想いは伝えたから、これからははじめちゃんに女性として意識してもらえるようにするからね!」


そう言うと勢いよくベンチから立ち上がり、入口まで駆けだすと道路に出る前で止まり俺の方へ向かって笑顔で大きく手を振り帰っていった



俺は茜色の空を見上げて紫苑の事を考える・・・紫苑は幼馴染で家族で一番の親友で・・・


確かにとびっきり可愛いし紫苑が近くに居るから、他の女の子からの告白も気持ちが揺れなかったのは事実だ・・


好きか嫌いかと聞かれれば間違いなく好きなのだ、紫苑と恋人になれば楽しくて幸せなのかもしれないが・・・俺はどうしたら・・・






「ただいまぁ~~」


おれは考えも纏まらないまま家路に着いた・・・


「あ!お帰り――――義兄ちゃん!試合後練習無かった割に遅かったね?」


「ああ、少し寄り道しててな・・・」


俺の言葉に反応すうる義妹・・・・「ちょっと!!もしかして女?だれ?どの女?私の知ってる女?!」


「おいおい、包丁を持って出て来るなよ・・・サイコパスかよ・・ちげーよ・・て、違うくないか・・紫苑だよ紫苑」


俺の言葉にすこし安心したのかキッチンに戻っていく義妹の葉子


葉子は俺が中学に上がる前に親が再婚して兄弟になった義兄弟だ、歳は同じだが俺のが少し早く生まれたので俺が兄、葉子は妹として育った


葉子は家庭部に入っており、料理や裁縫、掃除洗濯全て完璧にこなす何処に嫁にだしても恥ずかしくない撫子だ、緑掛かったミドルヘアーをお気に入りのクローバーの髪留めで止め、はち切れそうな胸にいつも愚痴をこぼしながら男共を悩殺している


紫苑とは人気を2分する美女で、当然モテる、毎日のように告白されるので最近は俺が一緒に呼び出され「私の義兄ちゃんより良い男でないと無理!」と俺にベッタリお兄さん大好きアピールするもので学校内で【ブラコン葉子】と呼ばれてしまっている


しかし本人は「事実だしブラコン大いに結構!」と全く意に介してない


今日も両親の帰りが遅いのでこうして葉子が晩御飯の用意と明日の弁当の用意をしてくれている事にマジ感謝


そんな葉子に甘えていたのかついうっかり悩みの種を口にしてしまう


「葉子・・実は俺・・・今日紫苑に告白されてよ・・」




【ガシャン!】


「おい!葉子大丈夫か!!」おれは慌ててキッチンで茫然としてる葉子に駆け寄る


「お、義兄ちゃん・・は・・・なんて・・返事したの・・・」


目に涙を浮かべて俺の胸にすがりつき恐る恐る俺に尋ねる葉子・・・


「あ、あの・・落ち着けよ葉子・・・」


「嫌よ!!答えて!!」いつになく気持ちが昂っているのか俺をグイグイと壁際に押し込む


「保留だよ!保留!!そんあ直ぐに答えなんか出ないよ!」


そういうと俺の胸を掴んでる葉子の手を握り離すように促すと


「いや!!絶対ダメ!!」葉子は俺抱き着いてきた


「お、おい葉子!!危ないってっ!?」


おれは後ろのソファーに足を取られ、そのまま葉子とソファーに倒れ込んだ


「お、落ち着けって・・危ないだろ・・たく・・・」


俺が上体を起こそうとすると肩を押さえられて再びソファーに押し込まれる


「義兄ちゃんは私のだから・・・例え紫苑ちゃんでも渡さない!」


「何言って・・・!?」


俺はそのまま葉子にキスをされた・・・驚いて目を見開いたままの俺の顔の前には、目をキュっと瞑り顔を真っ赤にした葉子の顔があった


葉子は顔を離すと俺の事を抱きしめる


「よ、葉子!?いったい「私も義兄ちゃんが好き!愛してるの!だから誰にも渡さない!!」・・・ええぇ」


「お、俺達兄弟「義理の兄弟は結婚出来るって小説の中では当たり前の事実だし!」でもな、今までずっと妹として接してきたのに急に」


「嫌だ!!私は前から義兄の事を男の子として見て来た!それこそ、他の男子が私を性的な目で見るように私も義兄ちゃんをそういう目で見ていた!!」


衝撃の告白に余計にパニックになる・・・


「わ、分かった!!俺もちゃんと考えるから!とにかく一旦退いてくれ!!」



どうにか葉子を引き剥がして、夕飯を二人で食べるが今日に限っては無言のままの夕飯となった


風呂から上がり、自分の部屋に戻る・・・


(葉子・・・)自分の部屋に行く途中にある葉子の部屋を少しみると、ドアの隙間からの明かりは無かった、寝てるのかもしれない



それにしても今日一日で幼馴染と義妹二人から告白をされるとは・・・しかしいくら考えても答えは見つからない・・・

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