第17話「キジマさん」(フ完全版) 2

 ある日の深夜


 主人あるじ憲史は、2階の寝室で戦時中に聞いた焼夷弾の爆発音より大きな破裂音を聞いた途端、意識を失ってしまった。

 隣の部屋で寝ていた息子の剛史はその大きな破裂音と共に自身の部屋の壁が崩れ、

割れた土壁の竹小舞の格子を突き破りながらガラス張りの運転席の様なものが、一瞬目に入ったが、強い衝撃と共にそのまま1階へ突き落とされた。

 意識はかろうじて保っていたが、下の階に寝ていた姉のすぐ横に突き落とされ、咄嗟に姉の姿を探そうとしたが、姉は巨大な金属の塊の下敷きになっていた。

「ね、姉さん」

 姉は両足をこちらへ向けて、首から下はかろうじて確認出来たが、頭部は完全にその塊の下敷きになっていた。

 剛史は薄れていく意識の中で、その塊が巨大な車輌である事を認識した。


 下で寝ていた娘の耀子は頭部を潰され即死だった。


 家の前半分は崩れ落ち、建物が存在していた場所にはダンプカーの荷台が在り、運転席側は完全に家の後半分にめり込んでいた。

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