第6話不完全

 「キジマさん」のお話は学校から学校、生徒から生徒へと口から口へ伝わっていった。伝言ゲームみたいなものだから伝わるウチに話が変わっていった、もしくは話がドンドン削られてシンプルになったのではないだろうか?


 どこかに完全版「キジマさん」のお話があって、それを聞いた者は100%「キジマさん」に出遭う事になる。

 逆に言えば「キジマさん」に出遭なかったらその話は不完全なのだ。


 当時、「キジマさん」という人物が、家にダンプが突っ込んで亡くなったというくだりまでは実話とされていた。新聞にも載ったと言われていた。

 もちろんそれもデマだとは思うが、何か元ネタ的な事故が現実に在ったのかもしれない。


 家に車が突っ込むなんて、現在いまじゃちょっと想像つかないが、昭和の40年代頃なら割と良くあった事故だろう。当時のアニメやコミックのネタに良く使われていた。

 当時はいかにも現実味を帯びていた。(いや現実かもしれないのだが)


 もし可能ならば完全版「キジマさん」を再現したいが、手掛かりは在るだろうか?



 


 

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