第3話恐怖の日々

 誰がこの話を持ち込んだか判らない。ある日ある朝、授業開始前の僕のクラスはこの話で持ちきりになっていた。

 ある者はワザと大声でこのお話を皆に聞こえる様に語り、それに対し両手で耳を塞ぎ「ワーワー」と大声を発し、「聞こえないぞ、聞いてないぞ」と絶叫する者まで出現した。

 ちょっとしたパニック状態に陥っていた。

 その日は一日中休み時間この話題になり、「キジマさん」が訪れる3日後と言うのは、この話を聞いた当日を入れて3日なのか、次の日から数えて3日なのか皆で議論が交わされたが、そんなの判るハズもない。

 結局、この日を入れて4日間恐怖に慄く事となった。


 でも思えば、クラスで最も怖れていたのは僕だったかもしれない。


 この日僕は家に帰っても、この3つの答えをスラスラと応えられる様に呪文の如く呟いていた。

 母親が、

「何、それ?」

 と聞いたので、「キジマさん」の内容には触れずに3日後に自分のところに幽霊が現れるかもしれない事情を真剣に説明したが、

「そんな事あるワケないでしょ」

 と笑って一蹴された。


 

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