事例1 孤高の英雄と暴君①

 皆様こんにちは。

 お約束通り、聡明な権力者様の実例を交えて、お邪魔になった勇者様の処分方法についてお話ししようかと思います。


 ではでは、掴みとなります第一例目。

 私、それはもう大変悩みましたが、私が知る限りでは、大変稀有で、一際厄介だった一例についてお話ししようかと思います。


 題しまして、孤高の英雄と暴君! 

 どうです? 中々かっこいいでしょ? 

 ……え、さっさと本題に入れ? 

 ああっ! 私とした事が、ついつい無駄話を……大変申し訳ない。

 それでは、ご注意を受けましたので早速。


 今回のお話、勇者様が大変稀有な存在でして……仲間を作らず、たった一人で魔王討伐を成し遂げた最強勇者でございます。

 題しました通り、まさに孤高の英雄。一騎当千の怪物にございます。


 しかし、これが大変面倒でして、一人で魔王様を討伐してしまうというのは、偉業も偉業。

 その分、民衆からの支持も相当なものになってしまいます。

 あ、それだけの力があるなら恐れる者も出てくるだろうと思いますよね?

 しかし、それが少々違うのです。


 ここまで行き過ぎてしまうと、一般民衆からすれば、その力は全くもって想像できないものですので、恐れて迫害という事には中々ならない!

 魔王討伐を成し遂げたという、英雄の側面だけが、民衆の目には映るのです。

 その力の矛先などは、一切考慮なさらない! 頭を悩ませるのは権力者の皆様だけ! お辛い事です。


 まあ、今回例に挙げた勇者様の場合は異様なまでに人当たりがよく、大変容姿が優れているものですから、そちらの影響が大きい可能性もありますがね。


 ほんっと、まるで宗教ですよあれは。羨ましいったらありゃしない! ……おっと、また話が逸れました。

 申し訳ない、冒頭と重ねてお詫びいたします。


 話を戻しますと、こんな勇者様がいらっしゃると、権力者様としては非常に頭を悩ませますよね。

 しかし今回のお話、更に厄介極まりない点があるのです。


 それはズバリ! 権力者様方の代表格、王様がそれはもう、民衆から嫌われているのです。

 長年にわたる重税に、魔王討伐は勇者様に全投げ、政治方針も欲が透けて見える……しかし、それを暴力と権力で押し通す。

 ついでに、魔王に脅かされている世界で、戦争まで引き起こした前科あり!

 これまた題しました通り、まさに暴君!

 いやー、私は基本的には権力者様に寄り添いたいと考えております、が……これは嫌われて当然ですね。


 ん? こんなのどうするんだって? 

 ハハハ、そのお気持ち、分かります、分かりますとも。


 しかし、ご安心を。

 これは、しっかり勇者様を適切に処分なさったにございます。


 逆境尽くし、破滅まっしぐらかとさえ思われる本件でございますが、一つ補足しておく事がございました。


 悪逆非道で欲まみれ、誰もが嫌うであろうこの暴君でございますが……実は彼、とんでもない手法で、勇者様をに追い込みました、歴史上でも類を見ない──知恵者にございます。


 

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政治的に邪魔になった勇者様の処分方法 傘重革 @kasaegawa

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