第17話 望遠鏡を担いでも見えない物は見えない2
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みんなおいでよエルダスパーク星(やはり長いです)は、エルダス星人の運営する商業自然保護星です。エルダス人はこの星の魅力を最大限活かす事を考えて、起動エレベーターという物を作りませんでした。
つまり地上にある宇宙港から宇宙船を発着させる、という経済的不合理を飲んだという事です。
また、出来るだけ惑星への影響を避ける為に、観光客が使うホテル等の施設も宇宙港の周りに集中しています。
例外はちょっとワイルドな気分になりたい観光客向けのツリーハウスぐらいです。
なんでもネットワークから隔離された自由があるそうです。
M22には、ネットフリックスやアマゾンプライムが見れない生活は想像しがたいので、何が良いのか分かりませんが。
宇宙港には四時間後に到着しました。午前十時(現地時間で書いても混乱するだけと思いますので、地球時間で統一させて貰います)を少し過ぎた所です。
地表に着陸できない宇宙船が使う、往還船がひっきりなしに着陸しています。
昨日調べた運航予定が予定通りである事に安堵しながら、車両を返却し宇宙港に向かいます。
背後で延々と続けられるオタク談義に
どこかの大手旅行会社が運航する宇宙船が到着したばかりのせいで、宇宙港は観光客でごった返していました。
爬虫類っぽい見た目の観光客は、ご先祖様でも見に来たんでしょうか? 地球人類が動物園で猿を見物するのと同様に。
「武器は?」
M22は念のためにバレス氏に再度確認します。
世の中には、何度も確認しても最後の最後でポカをやらかす人間が一定数存在します。
自身の愚かしさを、運が悪かったで済ませるタイプは、護衛の
「大丈夫だ」
バレス氏がさりげなく胸のあたりを触ります。
人型知性体文化で良く見られる、ジャケットタイプの内側に隠しているのでしょう。取り回しを犠牲にして、あらゆる検知器から銃の存在を隠すホルダーを使っているそうです。
商品である野生生物保護の名目で、エルダスパーク星では武器の持ち込みが厳しく制限されています。
その割に、護身用武器レンタルの料金が割高なので、そういう事なのだろうとは思いますが。罰金で済むトラブルであっても今は避けたいのです。
M22と森下悟は会社所有の宇宙船で直接地表に降りてきているので、観光客の群れからドンドンと離れていく事になります。
やたらと丸みの帯びたデザインばかりが目に付く宇宙港を一機と3人で進みます。
M22のセンサーと、ハッキングした監視カメラを使い周囲を絶えず監視します。
ルールスは相変わらず情報遮断フィールドを使っているので、肉眼にまでリソースを回さなければならないのが面倒です。
脅威度判定のニューラルネットワークは沈黙を保っていますが、M22は知っています。
状況が悪化する時というのは、得てして劇的であると。
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