第10話 複雑な解決方法から検討するは、愚か者の証拠です4
そうですね、無理矢理にこんな場所で野営をさせている時点で説明すべきでしたね。
そう言ったのはルールスでした。
続いて聞き捨てならない事も言います。
「そも追っ手でしたら行動が不自然すぎますし」
その一言でM22の想定シナリオで、実は厄介事なんて無いパターンが全て破棄されました。
ルールスが言葉を何度か頭の中で吟味している様子が見て取れます。それは地球人からすると見慣れた物でした。
つまりは汎知性連合の新参者である地球人を相手にどう説明したものかと考える異星人のそれです。
「地球の方々は汎知性連合が考える知性とは何かをご存じでしょうか?」
「えーっと、先人が残した知識や技術を受け継げる物を指して知性と」
ルールスの質問に突如野蛮人代表になった森下悟が自信なさげに答えます。
「はい、その通りです。汎知性連合に所属する上でその知性は絶対条件です。むしろその知性、知識や技術を受け継ぐ器を種族として持っているか? が重要であり、どれ程優れた知識や技術もそれが無ければ汎知性連合に所属する事は叶いません」
これは地球でも良く知られている話です、自分達が参加する連合の事だからという理由だけでは有りません。
何せあの『ビッグマーケットデイ』は特に汎知性連合に参加するのに必須のイベントではなかったという事なのですから。
それを知った時の政治家達の顔はどんな物だったのか、記録に残っていないのが残念な程です。
「ですので汎知性連合に参加する全ての知性体は、受け継ぐ側を重要視します。殺人は例外なく重罪ですし、知性を傷つける行為も重罪です」
ですが、とルールスは言葉を繋げますが、その顔には恥じる物が見えました。
「我が社にとってはその汎知性連合の考え方は少しだけ問題をありました」
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