第20話 広がる交友関係
以前の私はアンジェラにベッタリで彼女以外の友達はいなかったけど、彼女は私以外にも友達がいる。
だから、彼女は休み時間にほかの友達と話しに行くことがあった。
そう、今のように。
彼女は今、同じ精霊術師の女生徒たちと仲良く話している。
笑い合い、「やだもぉー」なんて言いながら軽く触れたりする。
アンジェラってわりとボディタッチが多いのよね。それも好感度を上げるための作戦なのかしら。
かつての私はその光景を嫉妬にかられながら眺めていた。きっとアンジェラはそれをわかってやっていたのだと思う。
そうして、私がイライラし始めたころに、私の元に戻ってくる。
ローズだけが特別なのよ、とでもいうように。
そしてますます彼女に依存……悪循環ね。
でも、今の私はアンジェラが誰と話そうと気にしない。
むしろ、そろそろ物理的な距離を置いてもいいんじゃないかと思っている。
ただ、アンジェラは相変わらず私のところに来るので、それを冷たく追い払うのもまた評判が悪くなりそうで結局そのまま一緒にいる。
悪くなっても別にいいのかな、と思いつつも、もう少し私の好感度を上げて味方を増やしておきたいという気持ちもあるのよね。
嫌われ者の末路を、身をもって知っているから。
でも、前回よりも状況はいい。
今は私の味方をしてくれるリアムもいる。
第二王子殿下……も前回よりは嫌われていないと思う。
デリックやオリヴァーも少しだけ態度を軟化させている気がする。
それに。
「ローゼリア嬢」
呼ばれてそちらを見ると、いつの間にかシェリル嬢が近くに来ていた。
「シェリル嬢。ごきげんよう」
「ごきげんよう。もうすぐ試験ですね。順調ですか?」
「そう言われるとつらいところだけど。でも今までよりは頑張っているわ。ところで、丁寧な話し方はいらないのよ? 友人なのだから」
「このほうが落ち着くので、しばらくはこのままで……」
「ふふ、そうなのですね。無理強いはしません」
私も彼女の口調に合わせる。
シェリル嬢の後ろの二人が、そんな私たちのやりとりを見て意外そうな顔をしていた。
「あのっ、私、シェリル嬢の友人で紳士淑女科のミランダと申します」
「私はクリスティーナと申します」
「ごきげんよう、ミランダ嬢、クリスティーナ嬢」
笑みを向けると、彼女たちが顔を輝かせた。
彼女たちのことはなんとなく見知っている程度だったけど、シェリル嬢と仲が良かったのね。
二年生から編入してもう友人を作るって、シェリル嬢はすごいわよね。そのコミュニケーション能力を見習いたい。
四人で楽しく話し込んでいると次の授業の時間が近づいてきたので、それぞれ席に着いた。
アンジェラも私の隣に戻ってくる。
今日も見事なぐぬぬ顔。
シェリル嬢たちと話し込んだのは、別にアンジェラに見せつけるためじゃない。
でも、彼女はそう感じたらしい。
私しか友達がいなかったくせに。
いつでも私にすがっていたくせに。
嫌われ者だったくせに。
心の中でアンジェラがそう言っている気がして。
なんだか楽しくなった。
私も性格悪いわね、ふふ。
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