第24話 青龍刀アンドロイドに歯が立たず
「大金を積めば、いかに高名な武術家でもひれ伏すだろうと上司に言われて来たのです」
「あんたが上司に責められようがわしには関係ないわい知らん知らん。それにあんなものはバッテリーで動いてるんじゃろ?充電が切れたらそれでおしまいではないんかのう」
「それが充電が切れても動いているからこうしてお願いに上がっているのでございます」
「わしゃ知らんよ。あんたらが勝手に作ったものが暴走を始めただけじゃ」
「そこをなんとか」
と押し問答していると、武館の入口で何かが壊れる音がした。
台風や地震でもない限りあの鉄の扉はびくともしないはずだがと首をかしげたその瞬間、話題のアンドロイドが武館に現れた。
戦闘型アンドロイドはこちらを凝視している。
見た目は人間と変わらないその目の部分に装着された対象物認識カメラのフォーカスがズームするたび「キー、カシャ」と言う不気味な金属音が聞こえる。
その時、戦闘服を着た二人の軍人が武館に入ってきた。
一人は足を引きずり、一人は頭部から流れ出る血を押さえている。
「張館⾧、力及ばずアンドロイドを取り押さえられませんでした」
「ご苦労」
と張館長は冷やかに答えた。
「やらかしてくれたのう、張館⾧殿」
「何をですか?李老師」
「武館の入口に軍服姿の人間を立たせて、まんまとアンドロイドをおびき寄せたんじゃろ。まったく困り事を解決してほしいと頼む人間がする事ではないわい。はっきり呼び寄せたと言わんかい」
「アンドロイドが軍服に反応する事を忘れていました」
「下手な嘘も休み休みに言え。それにしても可哀想なのは満身創痍の部下達じゃ」
じわじわと迫りくるアンドロイド。
ゆっくり近づいてこられると不気味さが増す。
「武館に不法侵入されたら仕方がない、わしが相手じゃ。小甘、わしの戦い方を観ておくんじゃぞ」
「はいわかりました、老師」
私は青龍刀を手にした。
アンドロイドはボクシングスタイルで構えた。
繰り出したジャブを青龍刀で叩き落としたが歯がこぼれてしまった。
青龍刀を捨て棍を手に取り縦横無尽に振り回すが、すべてかわすアンドロイド。
振り下ろした棍が脳天に当たり頭部が少しへこんだ。
これで戦闘回路がショートすると思った刹那、私の棍を奪い取りアンドロイドが逆襲を始めた。
スネを払ってくるのを飛び上がりよける、頭を狙ってくるのをしゃがんでよける。
ぶん回しに目が慣れてきて難なくよけられると思った瞬間、私は棍の突きの一撃を腹にくらった。
迂闊だった。
このアンドロイドは棍を振り回すしか能がないと決めつけたのが失敗だった。
私は腹を押さえてうずくまる。
その背中へ拳を振り下ろし連打してくるアンドロイド。
背中は打たれた時の衝撃を吸収する鍛錬を積んできたので耐えられる。
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