第18話 勝敗は戦わないと分からない

普通の人間なら関節に攻撃を受けたらシビレが走ったり打たれた箇所を手で押さえたりするものだがアンドロイドはお構い無しである。

何食わぬ顔で避けては反撃に出る。

程三等兵は防御一辺倒である。

そしてアンドロイドは上段を打つと見せかせて程三等兵の片足を抱きかかえタックルを放った。

程三等兵が倒れる。

そこから自分の腕を90度に曲げ、倒れた程三等兵の首にギロチンのように前腕部を押し付けた。

程三等兵がタップをして降参しているにもかかわらずアンドロイドは手を緩めない。

その時、張館長がコンピューターウオッチでになにやら話しかけた。

アンドロイドはギロチンチョークを止めた。どうやら息の根を止めるまではアンドロイドは攻撃を止めないプログラミング設定なのだろう。

相手を活かすも殺すも張館長がコンピューターウオッチから下す命令に左右される。

なんとも恐ろしい仕組みである。

程三等兵は一命を取りとめた。

館長がやめろと言わなければ死んでいた。


次々と兵士がアンドロイドに立ち向かっていくがことごとく打撃を喰らい最後は関節技か頸動脈の絞め技で終わる。

コンピューターウオッチで技を緩める司令を出すのは張館長である。

兵士達の戦う様子をずっと観察していた甘二等兵は腕を組んで何かしら考え込んでいる。「とうじゃ甘君、勝てそうか?」

「やってみないとわかりません」

「とにかくやってみる事じゃ。組み合っているうちに何か突破口があるかもしれん」

「はい、老師ありがとうございます」

「甘二等兵、前へ」

と館長が呼び出しをかける。

「はい」

と甘二等兵は擂台へと向う。

審判がいないというのも実戦らしい。

生きるか死ぬかの戦場で戦って来た兵士達には審判など無用であろう。

アンドロイドと甘二等兵か抱拳礼をかわす。「試合開始!」

と館長が言った。

まず手を出したのは甘二等兵だった。

いきなり首に両方から手刀を叩き込んだ。

人工知能はやはり頭部にあるようで少しよろめくアンドロイド。

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