第15話 人類が滅ぼされる日AIに

私と甘二等兵は張館長の部屋を訪れた。

「館長、ここにいる甘二等兵と私からお話したい事があるんじゃが」

「老師から私にお話とは光栄ですな。甘二等兵は部屋の外で待っていなさい」

「ちゃんと話を聞いてくれんかの。甘二等兵と私の二人からと言ったはずだ」

「それは失礼いたしました。甘二等兵と老師が同じ意見と言う事ですか?」

「同じ意見じゃ。部下の意見は聞かんのか?」

「ええ。部下の意見などいちいち聞いていたら軍の統率が乱れます。老師と二等兵の意見が一緒と言うのなら聞かないこともありません。老師、どうぞお話し下さい」

「嫌になるほど自分の主張が長いのう。まあいいじゃろ、聞いてくれ。はっきり言おう。アンドロイドの開発は今すぐやめてくれ」

「老師、認知症でも患われましたか?先日、それはできないとお伝えしたはずです」

「わしもあの時は話半分じゃったが甘君と話していたらこれはまずい事になりそうだと思い忠告しているんじゃ」


「老師、私に喋らせて下さい」

と甘二等兵が言って私の前に出た。

「館長、老師の仰っしゃる通りアンドロイドの開発を今すぐ中止してください。さもないと人類はAIに滅ぼされてしまいます」

「ハッハッハッ、寝言は寝ている時に言ってくれ」

「寝言ではありません。老師の套路をインストールするだけではなく自由組手の練習台にしようとしている事も知っています。私達と組手を何千何万回と繰り返しているうちにアンドロイドは次第に人間より強くなり傲慢な心を持ち始め人間を痛めつけるようになるでしょう」

「甘君、君はよっぽど自分の格闘技に自信がないようだな。アンドロイドに負けたらどうしようと言う気持ちがそう思わせるんだよ。人間が機械に負けてどうする」

「機械に負ける気はしません。しかし最近の事例ではアンドロイドが任務を遂行する事に過剰に反応して暴走する事件が多々発生しています。私はそれを危惧しているのです」

と甘君は熱く語った。

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