第17話

 私は今、夢を見ている。


 なぜそんなことがわかるかって。そこには私を含めて私が三人いるからだ。何を言っているんだと嗤う者もいると思うが、それが本当なんだな。

 何よりも私はここにいるはずなのに他のは気付いていない。私が触れようとしても透き抜けてしまう。

 一人だけ孤立している感覚は好きではない。いじめられていたときを思い出してしまうから。あの頃の自分は大嫌いだ。死んでしまいたい程に。



 二人は話をしているのか、時々笑ったりしている。でも私には、そんな記憶はない。ユウキは無愛想で放任主義なイメージがあるから笑うことなんてまずない。

 なのに、この二人は私をおいて談笑している。心底羨ましかった。



ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい──────



 呪詛のように何度も何度も繰り返した。


 私は長時間ここにいた。そのうち私の意識は朦朧としてきた。


(あぁ、これは夢じゃない。これは記憶だ。多分ユウキの。)


 なんとなく、そんな気がした。

 次の瞬間には気を失った。




   ◇◆◇


 またユウキの記憶を見ている。

 今回は片方の私がそれはもう無惨に。もう片方の私は泣いている。片方の私の亡骸を抱いて泣いている。泣き叫んでいる。

 このときもまた羨ましいと思った。

 誰かに泣いてもらえることが羨ましいと思った。




   ◇◆◇


 今度はにいた。

 そこにはと、あともう一人いる。


 二人は激しく罵りあい最終的には戦闘殺しあいとなった。真っ白でなにもない空間なのに見るからに地面がえぐれている。やがて両者共に満身創痍となった。


 最後に立っていたのはだった。

 表情はあまりよく見えなかったが瞳から流れる一筋の雫はよく輝いていた。




   ◇◆◇


 他にも色々なユウキの記憶が私の頭に流れ込んできた。いつもそこには何故か、知らない私の姿とユウキの姿があった。

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