第16話

 私が神域にきてから200年はゆうに越えた。    今ではどれだけ長い時間でも不安に思うことはない……はず。

 女神様とは、The友達というような関係になった。女神様と暇をもて余すような雑談やゲーム、たまに仕事の手伝いをしている。

 私は友達なんかまったくと言っていいほどいなかったし、これが友達の関係を持つということなのだろうか、少し嬉しく感じる。


 剣術の練習についてもマスターした。

 最初は短剣だけと思っていたが、ユウキがくれた情報の中には、ショートソード、ロングソードや片手剣などといった剣術に関するもの全てがそこにはあった。だから短剣だけでなく剣術をマスターした。

 でもなぜあんなにも情報があったのかがわからない。あんなにも膨大な情報は何千年も生きていないと得られないような量があった。それほどユウキは長く生きているのだろうか。


 ユウキについてはなにもわからなかった。

 膨大な情報があってもそこにあるのは剣術の情報のみ。でも、剣術の情報だけで300年分くらいありそうだった。いったいどれほど生きているんだと聞きたいほどである。



 今日も暇をもて余すために女神様とオセロをしていた。女神様はテーブルゲームが得意なようで、最初の頃は何度も負けていた。最近はいい勝負になっている。


「ぐぬぬ…嫌なところ置きますね悠莉さん」


 パチッ


「あったり前よ、勝った次の日に女神様の方の色で一面埋まったこと忘れてないからね」


 パチッ


「うっ………まだ覚えてましたか、その事はもう水に流しません?」


 パチッ


「「やられたらやり返す」って言って勝った私を完膚なきまでボコしたの誰でしたって?」


 パチッ


「私です♪テヘペロ」


 パチッ


「テヘペロ じゃないですよ、まったく……」


 パチッ


 この人可愛いふりして恐ろしいんだから。


 そうこうしているうちにオセロは終わった。勝敗に関しては私の負けだ。だからどうこうというのはなく本当にただの暇潰しだ。


「これで私の戦勝記録が増えましたよ」


「今いくらくらい?」


「12639戦中9405勝2009敗1225引き分けですね」


「チッ、全部覚えているのかよ」


「神域内で起きたことなら全て、と言いたいところですが私が覚えているのは神に昇格してからですかね」


「昇格とかあるんだね」


 まるで会社みたいだ。


「えぇ、何でも前任の神が何者かに殺されたようでして、そのときは他の神々がものすごくパニックになっていましたね」


「やっぱり神って殺せるんだ」


「本来でしたら神同士の争いぐらいでしか死なないのですが、何でも神殺しの力を持っていたようでしてね、誰がどうやって侵入して殺したのかは今でも判明されていません。ですから今でも怯えている神もいます」


 そりゃあ、自分が死ぬかもってなったら誰でも怖いだろうよ。


「じゃあじゃあ、女神様っていつから神様だったの?」


「…………」


 少しの間があったが女神様は口を開いた。


「230年ほど前でしょうか」


「あれ、私がここに来たのって200年前だったよね、しかも私が転生したときもそれくらいだったからそのときは30年前だったってこと!?」


「単純計算でそうなりますね」


 女神様は私と同じ世代だった。


「驚きました?これでもあなたと同じ世代なんですよ」


「うん、びっくりした」


「しかも私は神としては下の下くらいの立ち位置なので神としての威厳やらなんやらはものすごく低いんですよ」


「へぇそうなんだ。そういえばさ聞きたいことがあるんだけど」


 友達という関係になっても一度も聞いたことがなかったのでその話題を出した。


「女神様の名前って─────」


 それを言い出すと同時に自分の意識が後ろに引っ張られるような感覚がした。あとどことなく眠い。ものすごく眠い。

 今にも眠ってしまいそうな意識を頑張ってとどめている。


「悠莉さん、よかったですね。向こうの世界に戻れますよ」


「……う…ん。でも…その前に…名前…教えて…」


「わかりました。友好の証として教えましょう。私の名前は『アリス』生命を司る女神。以後お見知りおきを」


 名前を聞いたから、とどめていた意識がストンと落ちていった。










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更新遅れてすみません。

これからはもっとはやく更新できるように頑張ります。

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