第15話
「招いてもいないのに、お客が来るなんて珍…あら?あなたは……」
目が覚めると声が聞こえた。
「女神様?」
「やはり悠莉さんでしたか」
そこには私を転生させてくれた女神様がいた。
「悠莉さんはどうしてここに来れたのですか?」
「さぁ、私にも何がなんだか…」
確かユウキに剣術を教えてもらおうとして…そのあとはどうなったんだっけ。えっと…
「悠莉さん、まず来る前になにをしていたか教えてもらえますか?」
それから私はもう一人の「私」、ユウキに剣術を教えてもらおうとしたことなど内容を漏らすことなく話した。
話していくうちに何があったのかだんだんと思い出してきた。
「ユウキとおでこを合わせたところで記憶が途切れてるかな?」
「…………大体わかりました」
「わかったんですか!?」
当事者本人の私にもわからないのに。
「落ち着いて聞いてください。おそらくユウキさんは一部の記憶の共有することによって、悠莉さんの剣術の際の動きかたや太刀筋などを教えようとしたのだと思われます。しかしその記憶の量が膨大すぎて悠莉さんの脳が耐えられなくなって気を失い、ここ神域に来たのだと思います」
「でもなんで神域なのですか?」
「それは私にもわかりかねます。ですがあなたは一応半神半人なのでここにきたのではないのでしょうか」
「一応って…」
女神様が謀ったんでしょと言いかけたがぐっとこらえる。
「あぁ、あとここはどちらかと言えば精神世界の方が近いので厳密には体は存在しません」
「えっじゃあ私の体はどうなっているんですか?」
「さぁ、おそらくは今頃膨大な情報を処理しているんじゃないですか」
「そんな適当な」
こっちは自分の体が大切なんだから抽象的な表現はやめてほしいんですけど。
「実際にここにいるんですからそうなのでしょう。それに向こうにはユウキさんがいるのですから安心すればいいのではなくて?」
「あいつなにするかわからないし」
「まぁまぁそんなことより剣術の練習をしたいのでしたらここですればいいじゃないですか」
「こんなところでしていいのですか?」
「えぇ、私も最近は暇でしたし、たまに顔を見せてくれたら満足ですよ」
「でもどうやって練習するの?」
「向こうで倒れた理由が身体への影響だと思われます。その証拠に精神は壊れていないでしょう。情報は精神にも刻まれるはずですからそれを読み取って練習すればいいと思います。ユウキさんもそうさせようとしたのではないでしょうか、武器はないですが《創造》のスキルで作ってそれで練習してください」
「……はい。わかりました」
長々とした説明をしっかりと聞いて、自分の現状をまとめてみた。
1 私はユウキの失敗?のせいで神域にきてし
まった。
2 向こうの世界で情報の処理が終わらない限
り神域から戻れない。
3 ここで剣術の練習をしろとのこと。
なんか死んだときと同じ感じのようにスケールが大きすぎるんだけど。
ま、考えても戻れないものは戻れない。だからこの神域で剣術の練習をして、それが終わったらまた違うことを極めよう。
これから、どれくらい経つかわからないけど色々なことを勉強して極めて、たまには暇をもて余して、過ごしていくしかない。
「よーし頑張るぞ」
そこから目覚めるまでに200年かかることは、今の悠莉には知るよしもなかった。
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