第13話

「魔法を習得したから次は剣術だな」


 と、ユウキが言った。

 魔法の方は2ヶ月くらいで光魔法と無属性魔法を上級まで覚えた。無属性魔法の方は、結構応用が効いて可能性としてはもしかしたら無限にあるんじゃないかと思う。実際、無属性魔法は初級や中級などの括りはなく純粋な魔力を形質を変化させることによって無属性魔法を使えた。


 改めて剣術の練習にはユウキが指導してくれるらしい。


「魔法の練習の時は手伝ってくれなかったのに?」


「それとこれは違う。魔法は詠唱さえできればなんとかなるが、剣術には流派や型、ましてや我流のやつもいる。実際我流は時間と努力の効率が悪い。できたとしても欠陥だらけだろうよ」


「欠陥ってアンタねぇ」


「事実を述べたまでだ」


「じゃあどうやってアンタは私に剣術の練習を教えるのよ」


「そこに関しては大丈夫だ。一通りの武器大体マスターしてるからな」


「まじで?」


「まじまじ」


 そう言いながら私とユウキは外に出た。


「外ってこんなに広いんだ」


 ずっと魔法の練習をし続け、ずっとこもりっぱなしだったからまともに外に出ていなかった。


「まったく魔法の練習のためだけに2ヶ月も使うだなんて、やれやれだぜ」


「いやいや、上級までやっとけば安心って言ったの誰だよ」


「ふん、聞いて驚け、私だ!!!」


「知っとるわ!」


 少し会話も交えながら辺りを見回す。


「私達が目覚めたところって、まるでお化け屋敷みたいだね」


 一言でこの建物を表すとすれば「お化け屋敷」だった。

 構造的には三階まであり何よりも広い。使いもしない余分な部屋が行くともあった。


「あぁ、幽霊が出そうだ」


「なにいってんの、アンタ幽霊だからもう出てるよ」


「……忘れてたわ」


 そうこいつは実体を持たない幽霊なのだ。

 …………実体を持たない?


「実体を持たないアンタがどうやって指導すんの?」


「おいおい私のスキルを忘れたのか?《実体化》があるだろ」


「そうだったっけ。あれってどうやって使うの?」


「それはだな、一番簡単なのは依代を用意することだが今はそんなものはない。次は贄を用意しそれに順応すれば簡単だが…」


「そんなこと私がさせない」


「だろうな。つまるところ魔力を消費して実体化をするしかない。はぁ、あれ大量に魔力を消費するから時間が足んないだよな」


「じゃあどうすんのよ」


 私とユウキが悩んで少し時間がたった頃、その静寂を破ったのは_______


「ちょっと危険だが試してみたいことがある」


__________ユウキだった。


「試したいことって?」


「いや、ちょっとあれはちょっとどころじゃないかもな、相当危険かもな…」


「ちょっと一人でなにぶつぶつ言ってるの」


 真剣な顔をしてユウキがこっちを見てくる。


「お前、覚悟はあるか?」


「覚悟って何の?」


「命をかける覚悟さ」


「えっ」


 いきなりそんなことを言われたら誰だって驚いてしまう。

 命をかける覚悟だって?そんなものはないに等しい。なんでったって命なのさ?


「ごめん、そう言うのはちょっと」


「……やっぱりそうだよな。悪かった期待させて」


「ううん、別にそう言うのはいいの。でも…何をしようとしたかだけでも教えてくれない?」


「だめだ、あれは危険すぎる。それでも聞きたいんだったら、それをしたあとにしてくれ」


「わかったじゃあする」


「嘘だろ!釘を刺したつもりだったんだが!?」


「するって言ってるの」


 真剣な目で、ユウキを見返した。


「……わかった。じゃあ書斎までついてこい」



 そういって書斎まで一言も喋らずただ足音だけが響いていた。


「悠莉この椅子に座ってくれ」


「わかった」


 その椅子は極普通の椅子だったが今はそんなこと関係ない。


「ちょっとおでこ出せ」


「うん」


 私はおでこにかかっていた髪の毛をかきあげた。


「本当にいいんだよな」


「何度も言わせないで。私はユウキを信用してるの」


「ははっ、この2ヶ月でか?ちと信用しすぎじゃねぇの」


「あなたは私なんでしょ。私は私を一番信用しているの。そして私は私のことが一番嫌いなの。いつも現実から目をそむけ続けて、そこから変化しようとしない私が一番嫌いなの。だったら危険があろうと私は変わり続ける」


「強いな。お前は」


 ユウキは感傷に浸るかのような顔をしていた。


「それじゃあお望み通り、危ない橋を渡ってやるよ」


 そして私のおでこはユウキのおでこと触れた。そう触れた。おそらく魔力を使って実体化したのだと思われる。













 次の瞬間


 私の頭には情報が流れ込んできた。おそらくおでこが触れている部分から流れ込んでいると思う。


 ただし、その量が半端じゃなかった。色々な情報が流れ込んでくるなか、とある情報を理解した途端、私の頬は目から流れたであろう涙が一筋伝っていた。




 刹那、多すぎる情報によって、私の意識は闇に落ちてく瞬間私を呼ぶ声が聞こえた。


「悠莉?悠莉!!」


 私は心配してほしくなくて笑顔で意識を手放した。





________________________________________________________________________________________

 更新遅くなってすみません。

 リアルの忙しさもあったんですが、この話をどう書こうかとか色々と迷ってる間に時間が相当経ってしまいました。


 この作品を愛読してくれている読者様方、これからもどうか応援よろしくお願いします。


                 鈴乃より

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