第12話
魔法の練習 1日目
魔法の習得には魔力を認識しなければならない。さいわい私は《魔力感知》のスキルを持っていたからこれは簡単だった。問題は魔力の操作だ。魔力を認識し、それを操作してこそ魔法が使えるようになる。《魔力操作》のスキルを持っていてもそれは簡単なことではなかった。それなりの熟練度が必要だった。
なので私は魔法よりもこの2つのスキルを伸ばすことに決めた。
それをユウキに話したら「いいんじゃねぇの」と返ってきた。
魔法の練習 2日目
私は《魔力感知》を昨日より集中して発動してみたら魔力は体のなかを循環していた。心臓は魔力の一番集まっていた器官だった。二番は頭だった。私は《魔力操作》も使って均一に魔力を体に流そうとしたらものすごい倦怠感に襲われた。それでも続けようとしたら、ユウキが現れて「やめておけ」と言ってきた。何でも、魔力も生物が動くのに必要なものであるため頭まで均一にするとだるくなったりして、ミスって頭の魔力がからっぽになると最悪廃人になるらしい。
「じゃあ、頭以外だったらいいの?」
「つまりそういうことだ」
つまりそういうことらしい。
「アドバイスするとしたら、魔力の流れを速くするのがいい練習になるな。それも速くなりすぎるなよ。それとその練習も一段落したら、魔力を体の外に放出することをしてみるといい。その感覚が魔法を撃つときの感覚と似ているからな」
「うん、ありがとう。やってみる」
「おう」
そしてユウキはこの場から消えた。
魔法の練習 3日目
昨日のユウキのアドバイスをもとに練習を再開した。ユウキが言ったように魔力を速く流してみた。すると不思議なことが起きた。体の動きが遅いのだ。いつもの動きが10としたら今の動きは3くらいの動きだと思う。怖くなって魔力を速く流すのをやめたらもとに戻った。この事をユウキに相談したら、
「そりゃ魔力の流れを速くしすぎたんだな」
「どゆこと?」
「頭にだって魔力が流れていて、それを速くしたら、認識速度も速くなるからな」
「へぇ」
「急な速度変化に体が追い付かなかったんだろうよ」
「よくわかんないや」
「まぁそんなんでいいんだよ」
魔法の練習 7日目
体内の魔力操作も大概できるようになったから、今度は魔力を放出する練習をはじめる。ユウキが言うからには、魔法の発動と感覚が似てるらしい。それに、あとから聞いた話では、MP=魔力は少し違い、MPは使える最大限の魔力であり、使いきっても大丈夫らしいが、魔力を全て使いきってしまうと、最悪死ぬらしい。
いやぁ無知って怖いね。
魔法の練習 10日目
やっと魔力操作がしっかりとできるようになって、これから魔法を発動しようとしたら、ユウキが「私が見てやんよ」とのことだった。
「準備はいいか?」
「うん」
「本で覚えた通りの詠唱を唱えてみろ」
「わかった。それじゃあ行くよ」
そして私は《ライト》の詠唱を唱える。
「【暗きを照らせ】《ライト》」
唱えた途端に辺りが明るくなる。
「やった!!成功した!!」
「よくやったな。初歩の魔法だがこれは大きな一歩だぞ」
「うん!」
「次はそれを無詠唱でやってみろ」
「えっ」
「やんないのか?お前このために魔力操作の練習してたんじゃないのか?」
「魔法を撃つためだけど…」
「それくらい詠唱すれば誰でも出きるぞ」
「え~~!!?」
「まさか知らなかったのか」
「………うん」
「はぁ、まぁいい。無詠唱で《ライト》を撃ってみろ」
「………うん」
結構ショックだったけれど無詠唱で魔法を撃つことになった。
「……《ライト》」
途端に辺りが明るくなる。
「えっ、できてる」
「実はだな、魔力操作が必要なのは無詠唱の時だけで、普通に魔法を発動するんだったら詠唱が全部やってくれるぞ」
「…………先に言ってよ」
「私はお前が知っているとばかり思っていたからな。まぁでも無詠唱での発動は隙が少ししかないから楽だぞ。まぁそれも上級ぐらいまで使える魔力と無詠唱で発動できる緻密な魔力操作ができれば安心だぞ」
「…………」
こうして10日間かけて練習した魔法の練習は、思い違いでその一歩上に行ってしまったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます