第9話
『この世界の常識』という本でわかったことは、まず、この世界はアリウスという名称らしい。
アリウスは7つの大陸から成り立っており、人間の統べる大陸が2つ、エルフやドワーフなどの精霊に愛されたものが住んでいる大陸が1つ、魔族が統べる大陸が2つ、そのなかでも吸血鬼と竜族が1つずつ、ここは覇権を争っている。機械族と呼ばれる者達が統べる大陸が1つ、高度な技術が進んだらしく人間と魔族両方を受け入れているが、敵対するものに対しては受け入れを拒否している。
転生者達は大体が人間の大陸にいるらしい。
ちなみに人間の大陸は魔族を受け入れていない。それゆえか、魔族の大陸の方も人間を受け入れていない。精霊に愛されし者達の大陸は人間も魔族も受け入れていない。これには理由があって、まだ戦争が続いていた時代では精霊に愛されし者達を両者共に奴隷として扱っていた歴史があったらしい。2度とそうならないように今は機械族が統べる大陸とだけ友好な関係を築いているそうだ。
最後にここ未開拓大陸。この大陸は魔物と呼ばれる生物が存在する。魔族と違って魔物は自我がないゆえ、魔気や瘴気から生まれているため止めることができない。さらに300年前に魔物が溢れかえって他の大陸にも影響を及ぼした。さらに生物が住めないような自然環境も出来上がっており、人間も魔族も手を出せないでいるのがここ、未開拓大陸である。
「色々とすごいことになってる?」
「なんで疑問文なんだよ」
「だって私がいた世界がここよりも平和だったんだから。それに日本は兵役の義務はなかったし、戦争とは無関係だったし」
「それもそうか」
「あとさ…」
「どした」
「あんたのこと、なんて呼べばいいの?」
「今さらかよ」
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