第5話

 後ろを向くとそこには私がいた。


「何で私と同じ姿をしているんですか?そもそもあなたは誰ですか?」


 少し警戒しながらそいつに質問した。


「私?片瀬悠莉だよ」


「私が片瀬悠莉だ!」


とっさになって言い返した。


「言い方を変えよう。私はお前だよ」


「は?何いってんの?」


「…はぁ。ここまでバカだったとは」


「バカじゃないし!!!」


「…はぁ」


「ため息やめろ」


「いいか。この神域には現在客人として招かれているのが片瀬悠莉なわけだ。私はお前でお前は私だから、招かれたのは実質二人なんだよ」


「でも、何であなたが私なの?」


 純粋にそれが疑問だった。


「そうだなぁ、じゃあいまから問題を出すぞ」


「何でそうなるんだよ」


「問題!片瀬悠莉がいつも見ていたものは何?」


 流された。


 いつも見ていたもの?


「質問です。いつぐらいから見ていましたか」


「質問権は与えていない!!だが良い質問だ。特別だ答えてやろう。それはお前の自我が芽生えたときからだ」


 自我が芽生えたときから?となるとあれしかないわけだ。


「もしかして「モヤ」のこと?」


「おっ、正解だ。バカにしてはやるじゃねーか」


「だからバカじゃないし!!!」


「つまりだな、お前が言う「モヤ」はな、私こと片瀬悠莉だったのだよ」


「ちょっと待って、考えさせて」


 えーと、私が生前見ていた「モヤ」は、私こと片瀬悠莉であって、でも何で1つの世界に二人の私がいるのだろうか。いやそんなことよりこいつが「モヤ」であって私ということがわからない。考えるほど答えがごちゃごちゃになってしまう。


「何で「モヤ」が私だったの?」


「……それはいつか教える」


「ふーん」


「そろそろよろしいでしょうか?」


 やべっ、女神様のこと忘れていた。


「まずお二人にはスキルを決めてもらいます。スキルを決める際その人にあったユニークスキルが作られます。通常のスキルの場合は自分で選んでもらいます」


「ユニークスキルは必ずもらえるの?」


「はい。必ずもらえます」


「スキルはいくつまでなんだ?」


「転生者であれば五から十くらいまでば選べます、この場合は個人の差がありますが」


 ここは、慎重に選ばなければ。


「なあ、私が先に行って良いか?」

 

 元「モヤ」がそんなことを行ってきた。


「別に良いけど」


「じゃあ、お先に失礼」


 失礼された。


 


 数分後に「モヤ」が帰ってきた。


「悠莉、決めてきたぞ」


「何にしたの?」


「こんな感じかな」


 やつはそういって何かを私に見せてきた。


「これってステータス?」


「あぁそうだ」


「ふーん」


 そして私はやつのステータスを見る。


 名前 片瀬悠莉

 種族 霊族

 性別 不詳

 年齢 不詳

 LV 不詳

 MP 不詳

 SP 15


 種族スキル 《実体化》

 ユニークスキル 《■■》

 スキル 《鑑定》《偽装》《隠密》《剣術(レイピア)》《闇魔法》《錬金》



 いや、何これ不詳って何?たくさんあるんだけど。ユニークスキルの■■って何だよ。私の種族の表示の仕方と一緒じゃないか。


「何これ」


 無意識に声が出てしまった。


「どれが気になるんだ?」


「ユニークスキルに決まってるでしょ!?」


「あーそれなら見えていないのはお前だけだぞ」


「えっ何で?」


「知らんが私にははっきりと見えるぞ」


「じゃあ教えてよ!」


「やだね」


「なんでよ、別にいいでしょユニークスキルぐらい」


「いや、このスキルは知られたらヤバイからな」


「えー」


「えーじゃねえよ。ほら次行ってこい、女神様が待ってるぞ」


「はーい」


 私は諦めて女神様の元に行った。

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