第28話 王子と聖女の婚約式1

 リリッシェは王城で、戸惑いながら立っていた。


 リリッシェの周りには、彼女の衣装や髪を整える侍女が何人もいる。


 衣装はいつもの聖女のローブではない、雪の模様のドレスだ。


「はい、完璧に整いました」

 侍女長が微笑み、彼女たちは部屋から出ていく。


 リリッシェはとなりの部屋に向かう。

 ドアから顔だけ出した。部屋で待っていたライファンが振り返る。


「あの……、似合ってる? だいじょうぶ?」


 ライファンは目をきらめかせた。


「すごくきれいだよ、リリッシェ」


「ありがとう……」


 頬が熱くなる。リリッシェはうつむいた。


 じゃあ、行こうとライファンが手を差し出す。

 バルコニーを見たリリッシェは、足が動かなくなった。


 ライファンはくすりとわらう。

「俺の役目が増えてうれしい」


 ライファンはふわっと、リリッシェをお姫さま抱っこした。バルコニーに出る。


 歓声が聞こえた。

 朝日が差すバルコニーはまぶしくて、目まいがする。


 ライファンが街の人が集まる広場に向かって、リリッシェとの婚約を告げた。

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