第27話 雪の結晶が降る夜4

「分かってたよ。だってお前、俺といてもわらわないものな」


 子どものころは違ったよなと、ライファンは微笑む。


「あのころの関係にもどれるのをずっと待っていたんだ。だからそれまで、恋はしないことに決めたんだぞ」


 わらってない?


 そんなことない。ライファンと一緒にいる時間は、わたしの最高の幸せだった。


「でも、もどるわけないんだよな」


 ライファンはもう一度リリッシェの頭を撫でると、小さく謝った。


 彼の姿はゆっくりと遠くなる。


 姿が青い光の雪原から消えたところで、やっとリリッシェは駆け出した。


 大通りを歩いていたライファンの背中に飛びついた。


「待って、ライファン」


 ライファンは体を強張らせ、青い瞳で問うようにする。大人びた彼らしくなく、ひどく動揺していた。


「わたしもライファンが好きっ。子どものころからずっと好きだったよ」


 雪の結晶は降り続いている。


 白い奇跡の中のライファンは、とてもきれいに微笑んだ。

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