第25話 雪の結晶が降る夜2
リリッシェは涙を拭った。
また少し期待してしまい、情けなくなった。どうしていつまでも諦められないのだろう。
よく考えたら、今夜は舞踏会だ。ライファンはお城でまた出逢いがあるだろう。キエス公爵令嬢も出席だろう。
それとも、また妄想かな。
予知は未来の間でないとできない。できるのは、妖精の奇跡が起きたときだ。
……違うよね。きっと本当の予知だ。
だってライファンは今は舞踏会に出ている。わたしの得にならない予知は、妄想じゃない。
そっか。
ライファンはきっと、舞踏会で本当の恋をするんだ。
涙があふれる。
いやだよ。
苦しいよ、ライファン。
……。
リリッシェは顔をあげる。
青い青い雪明かりの中に、ふいに人影が現れたからだ。
人影の長い髪が風に揺れる。雪と同じくらいに美しかった。
目を凝らしたリリッシェの息は止まりそうになる。
「ライファン……」
そこにはライファンが立っていた。
彼の冴えわたるような美貌は、儚げな雪によく映える。
リリッシェはつい見惚れた。
時が止まってしまったような雪景色の中で、雪の王子はリリッシェをずっと見つめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます