第24話 雪の結晶が降る夜1
「あっ、雪の結晶……」
底冷えのする窓際から、輝くようなきれいな夜空が見える。
……雪の結晶だ。
空からは、手のひらくらいの大きさの雪の結晶が降っていた。これも雪の妖精が起こす奇跡だ。
辺りを浄化するような清い雪の結晶が降り積もる。
泣きはらした目で雪を見つめる。また風景がぼやけた。
ありがとう、妖精さま。と、リリッシェは雪の上に字を書いた。
……王妃さまはとても優しかった。
『そんなことはない。あなたの予知は当たります』
そういってくれた。
リリッシェは雪の結晶に手を伸ばす。窓からはうまく触れられない。
そっと家を抜け出し、家の南にある雪原に向かった。
木々に囲まれた草原だ。冬には雪原になる。
雪をすくって目に当てると、ひりひりしている目の周りがすうっと冷えた。
わたし、もうお城に行けないな。
ライファンにも会えない。
雪が青い光を放っていた。冴えた冬の空気の中、どこまでも美しい夜が広がっている。
これも雪の妖精の奇跡だ。こんなに奇跡が続くと、雪の妖精の祝福を感じる。
リリッシェは雪原に寝転がる。このまま、雪の中に埋もれていきたかった。
「あっ……」
思わず飛び起きた。
立ち上がり、心を落ち着かせる。もう一度、確かめてみたが、やはり予知だと思った。
未来の間ではないけど、予知の感覚はおなじだった。
ライファンは今夜、恋の相手と結ばれる。
そんな未来を感じた。
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