第21話 予知が失敗する理由1

 リリッシェは街外れの森で、夕日を眺めていた。


 予知をしてから二週間経った。


 まだライファンは、恋の相手を見つけていない。


 ため息が出た。

 ライファンのやつれ具合が思い出されるからだ。


 ヒョウのようなセクシー令嬢に罠をかけられた。泣き虫王女に駄々をこねられた。

 いい出会いが全然ない。


 ライファンの楽しそうな顔を見たのは、お祝いの遠出の日が最後だ。話があるといっていたのに、それも疲れて忘れてしまったらしい。


 街のお祭りムードもしぼんできている。


 ま、まさか、本当に間違いだったの? そんな考えが頭をよぎる。


 最近は、街の人がいたわるようにリリッシェを見る。


 リリッシェは宮廷聖女解任かもしれない。

 そんな噂も聞いた。


「もしかして、本当にわたしの予知は外れ?」


 だが、予知をしたときの精神は冴え渡っていた。確かに婚約と感じた。


 あのライファンがやっと恋をする。


 わたし自身にとっても、すごくうれしい予知だった。


 思ったリリッシェはどきりとした。


 リリッシェの予知は、ずっとリリッシェが願っていたことだと気づいた。


 ライファンとリリッシェでは身分が違う。

 だから考えないようにしていたが、ライファンをちょっと、……いや、かなり気になっていた。


 どきどきは収まらす、頬が熱くなる。


 やっぱり、わたしはまたライファンを諦めていないの?


 聖女殿での教えを思い出す。


 自分の願いに対する予知は正しく読むことが難しい。冷静に見極めるべき。ということものだ。


 もしかして、あれは正しい予知ではないの?

 わたしの願いが感じさせた妄想なの?


 うそ。


 血の気が引いていく。リリッシェは木にもたれて体を支えた。

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