第19話 樹氷の森の舞踏会4

「ここでなにしてんの、ブルーナ」


「帰り道だからな。通りかかり」


「君は……、確か真判殿の裁判官だね」


 ライファンは微笑む。


「覚えていてくれてうれしいよ。はい、裁判官のブルーナです」


「だから、ライファンさまって呼ばないとだめだよ」


「ああ、こんにちは。雪の聖女さま」


「からかうのやめてよ」


「雪の聖女?」


「最近、リリッシェがそう呼ばれているんですよ。大きな予知を二回もしたから。……そうだ、婚約相手は見つかりましたか?」


「それは……。まだ分からないね。私があんまり不甲斐なくて、予知のほうが逃げてしまうかもしれない」


 冗談めかしてライファンはわらう。


「いや、きっと見つかりますよ。リリッシェなんかどうですか? 雪の聖女さまと雪の王子さまならお似合いでしょ」


 リリッシェは唖然とした。


 ライファンも戸惑ったように目をそらす。


「ライファンまでからかわないでよ」


 ふいにリリッシェは泣きたくなった。

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