第13話 雪の王子の招待状5

 ドアをノックすると、中から『どうぞ』と声がする。


 正式に呼ばれたため、いつものように勝手に部屋に入るのはやめておいた。


 ドアを開けたリリッシェは目を見張る。


 ライファンの服装がいつもと違ったからだ。


 彼は正装に近い衣装で窓際に立っていた。凛とした姿にどきっとする。


 彼はなぜかずっと背を向けていたが、やがてゆっくりと振り返る。


 いつもと違う、優美な表情をしていた。彼は流れるような仕草でお辞儀した。


「よく来てくれましたね、リリッシェ。急な呼び出しに応えてくれて、うれしく思いますよ」


 ……え?


 いつもの口調じゃない。

 友達に対する態度でもない。


 もしかして、頭でも打って……。


「ライファン、どうしたの? いつもと違うよ」


 リリッシェの言葉には答えず、ライファンは続ける。


「最近の予知の活躍で、国王から褒美も出たそうですね。遅ればせながら、私もお祝いさせてもらおうと思い、貴女を呼んだのですよ」


 ライファンは優雅に微笑む。きらめく瞳が美しすぎて、リリッシェは目まいを起こした。

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