第11話 雪の王子の招待状3

「リリッシェ、家に帰るんだろ。オレも帰るよ」


 また歩き出したとき、どこからか、回廊を駆けるような足音がしてきた。音はこっちに向かってくる。


 回廊の角から人影が現れた。リリッシェの先輩の聖女だ。


「リリッシェローズ、捜しましたよ」


 彼女は息を切らす。


「わたしをですか?」


「ライファン王子がお呼びなんです。緊急の御用事とか」


 先輩は不安気にリリッシェを見る。

 「とにかく急いでください。王子が急を告げるなんて滅多にないことです。なにかあったのかもしれません」


「分かりました」


「王子の私室に、とのことですよ」


 リリッシェは駆け出す。


「うれしそうな顔して」


 すれ違いざま、ブルーナが舌打ちした。彼はなぜかリリッシェを追ってくる。


「お前、本当はまだライファンが好きなんだろ」


 急にいわれてどきっとする。リリッシェはうんざりと彼を振り返った。

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