第10話 雪の王子の招待状2

「今日もライファンの部屋でくつろぐのか?」


 ライファンって……。


 ブルーナはライファンの友達ではない。知り合いですらないのに、いつもライファンを呼び捨てにする。


「ライファンさまでしょ。ブルーナ」


「いいんだよ。だってオレは裁判官だから」


「裁判官だからなに?」


「何回もいってるだろ。真判殿は独立した機関なんだ。王族の権限が及ばない崇高な領域なんだよ」


「だから?」


「だから、分かりやすくいうと、王族の威光は通じないの。相手が誰だろうと裁くときは裁くんだ。だから、ライファンにへつらう理由がないんだよ」


「礼を欠くなっていつも怒られてるくせに」


「オレ、間違ってねーもん」


「うちの国だから許されているけど、他国だったら処刑だよ」


 ブルーナは雪原を眺める。気持ちよさそうに深呼吸した。彼に似合う若葉色の衣が風に揺れた。

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