第7話 雪の王子の困りごと4
「この度はご婚約おめでとうございます」
彼女の言葉で、周りはきゃあきゃあと手を取り合って騒ぐ。
「ですから、婚約したわけでは……」
「おめでとうございます、王子」
「とうとう、婚約ですね。立派に成長しましたね」
「正式な謁見は後で申し込みますが、とりあえずお祝いに来たのですよ」
「お茶会のついでですけどね」
「まあっ、予知をしてくれた聖女さんもいらっしゃるのねっ」
婦人たちはきゃあきゃあと色めき立つ。
「素晴らしいわっ。あなた。本当にありがとうっ」
「可愛らしい聖女さん。これからは、私たちのことをお姉さんと思ってね」
婦人たちはライファンとリリッシェをもみくちゃにする。
しばらく騒いだあと、きゃあきゃあと退出して行った。
ライファンはぐったりとソファにもたれる。
リリッシェは呆然と立ち尽くした。
ライファンは、婦人たちに左右バラバラにいじられたリリッシェ髪を編み直したあと、窓のほうを手で示した。
窓際のサイドボードには、大きなわんこのぬいぐるみがすわっていた。
「かわいいーっ」
リリッシェは駆け寄って抱きつく。
雪ひつじの毛でできたぬいぐるみだった。ルルー犬という、異国のわんこだ。
綿菓子のような大きなしっほがついていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます