第5話 雪の王子の困りごと2

「ライファンは充分立派だよ。みんなそういってるよ?」


「そうかな?」


「そうだよ。この前の落雷のときも、ライファンが迅速に動いたから、山火事にならなかったって大感謝だったよ」


「……そうなんだな。いつも知らせてくれてありがとう」


 ライファンは頬を緩めた。


「いつも話してくれて、感謝してる。リリッシェの言葉はいつも優しいな」


「ライファンは街のみんなに愛されているよ。婚約の予知、本当に喜んでくれたんだから」


「困った事態だよ。どう収集するんだ?」

「困った?」


「俺の婚約は絶対にない。結局、皆を落胆させるんだぞ」


「本当に?」


 リリッシェは身を乗り出す。


「ああ」


「まったく? 恋の予感もないの」

「ああ」


 そんなわけないっ。


「よく考えてよ。わたしの予知が外れたことになっちゃうんだよ」


「大はずれだよ、わるいけど」


「恋ってすごくいいものなんだよ。少しは分かるでしょ?」


 リリッシェはライファンのとなりに立った。


「ねえねえ、ライファン」

 ライファンの服をつまんで揺する。


「ライファンの婚約相手は、ライファンの運命の人なんだって」


「……聞き飽きた」


「その人はずっとライファンの近くにいたけど、巡り合わせがわるくてうまくいかなかったの。でも今度こそ結ばれるんだって」


 リリッシェはうっとりした。

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