第39話 天才姫様の稽古相手は大変です配信
「まだまだ、いっくよぉ~」
私は、フランシアさんにさらに攻め込む。
私が剣で攻め込むと、フランシアさんの魔力による感知が反応して、私の剣を弾く。
フランシアさんが私の剣を弾く前に、避けて、彼女の身体を吹っ飛ばす。
「----っ!!」
フランシアさんは今のままだと良いようにやられるだけだと直感的に理解したのか、体中剣の構えを解いて、私に向かって斬りかかって来る。
良い判断なのかもしれないけれども、それは悪手である。
フランシアさんが私に攻め込むと共に、私の身体は自動的に彼女の剣を防ぐ。
そして、彼女の剣を防ぐとともに、彼女を再び斬りつける。
私が攻め込めば、フランシアさんの体中剣で防ごうとするも、私の剣はそれを避けて相手を斬る。
逆に、フランシアさんが攻め込めば、私は防ぎながら相手を弾き飛ばす。
相手が攻めようが、防ごうが、私は体中剣で防いだ上で相手に一撃を加える。
そんな風に一方的に攻めていると、フランシアさんは「凄いですね、師匠……」と褒めていた。
「隙が一切ない……流石は、師匠です」
フランシアさんが凄いと褒め称えるも、別に難しい技でも何でもない。
----ただ、『護りの剣』に『
相手が守りに徹すれば、自ら攻撃しに行って、『護りの剣』で弾かれるという攻撃に
一方で攻め込まれれば、『護りの剣』で防いだ上で
名付けて、『
体中剣で守りつつ、守った上で相手に反撃する----そういう
『護りの剣』である体中剣がしっかり出来ていれば、
うんうん、『守りながら反撃する』って、理想的な
この
正直、フランシアさんに使うのも、勿体ない
何事も基本が大事とは、まさにこの事。
基本となる軸がしっかりしていれば、多少のアレンジを加えるだけで、ここまで強くなれるのだ。
だけれども、いまのままだとマズい。
私が押しているのは事実だが、彼女は体中剣の取得に関して、無自覚に魔力を使って対応する天才さんこと、フランシアさんである。
そんな天才さんに対して、『体中剣にカウンターの力を組み込んだら、再現できますよ』だけだと、すぐさま真似されてしまいそうな気がする。
という訳で、真似されない時間を出来る限り増やすために、別の技も交えておこう。
そうすれば、先のカウンターの理屈が判明して出来るようになったとしても、今からやる別の技を指導しておきなさいといっておけるから。
「すーっ」
私は大きく息を吸い込んで、身体の中に魔力を取り入れる。
魔術に使うのに、取り入れたのではなく、別の用途に使うために取り入れたのである。
前世で私は、"チャクラ"と呼ばれるモノの存在を認知している。
とある某忍者漫画で得たその知識は、身体の中で"チャクラ"を巡らせて、体術だの、忍術だのとして放っていたのだが、この世界には前世の世界には明らかになかった魔力という存在がある。
私はその魔力に、"チャクラ"の代わりをしてもらおうとしていた。
身体の中に魔力を巡らせ、身体全体を覆う。
これはこの世界では『身体強化魔法』として、身体能力を強化する魔法として知られているのだが、前世で"チャクラ"という知識を知る私はこの先を行う。
魔力で身体全体を覆いつつ、魔力の質自体に変化を強要する。
魔力の質に『重量化』を命じると、それに覆われている私の身体も鋼のように硬くなる。
----その名もずばり、『魔力武装』。
魔力を鎧のように武装して、その魔力の性質を変更する。
魔力の性質を変更することによって、身体全体を硬くしたり、柔らかくしたりする、私の戦闘技術である。
『魔力武装』の力によって鋼のように硬くした身体で、私はさっきと同じように体中剣を行って攻めに行く。
「----いきますっ!」
私が攻めてきたのを見て、フランシアさんが剣で攻め込んでくる。
さっきと同じように剣で防がれると思っていたフランシアさんだったが、私は剣で防がず、魔力によって硬くなった身体で防ぐ。
----カンッ!!
私の女らしい柔肌は剣を弾いて、それどころかフランシアさんの持っている剣に亀裂を与えていた。
「(体中剣はあくまでも身体に危害となる攻撃を弾いて、防ぐ。魔力操作によって身体自体を鋼のようにしている今の私にとっては、フランシアさんの剣術は脅威でないと判断したんだね)」
皮膚に攻撃したはずなのに剣の方が欠けてるのを驚いているようだけど、そんなフランシアさんに考える時間なんて与えません。
今日は師匠として訓練を施すのと同時に、フランシアさんをサンドバッグにしてストレス発散するのが目的なのだから。
その後、私は『魔力武装』によって身体を鋼のように固くしたり、紙のように軽くなって空高くふわふわと浮かぶ。
『護りの剣』である体中剣、それに魔術『
……最後の方、体中剣に
やっぱこのお姫様ってば、才能の塊だわ、うん。
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