第23話 姉妹でイチャイチャ

 それにしても、今日のエマさんのスカートの丈は今までで一番短いような気がする。

 前の膝丈のふわりとしたスカートがよく似合っていたけれど、これもダイエットの一環なのだと言う。


「見られてるっていう意識が大事なんです。だから、なるべく外出するときはミニ丈にしてるんですよ」


 エマさんは、長い丈を穿き始めると癖のようにそればかり穿いてしまうらしく、俺が来ていない三日間そうだったらしい。


「今日は自分への戒めもあって、いつもより短くしたんです。あの……どうですか?」


 脚をモジモジさせながら聞かれ、生唾を飲み込んだ。

 そんなのスペシャルグレートエスペシャリーキュートフォーエバーに決まっている。

 エマさんより可愛い人がこの世に存在するものか。


「あの、ススス……素敵だと、思います」

「本当ですか? 良かったです」

 両手を合わせて微笑んでいる。


「エマも今度ショートパンツにしなよ~。このくらい短くなるから、気合入るよ!」

 

 ステラさんが、エマさんの背後から、スカートを持ち上げた。

 脚の付け根ギリギリまで露わになった。

 思わず顔を手で隠したけど、ほんの一瞬見えてしまいました。ごめんなさいありがとうございます。


 ……薄ピンク……。


「ちょっと、ステラ!! やめてください!!」

「エマもショートパンツ似合うと思うのになぁ」

「ステラのように短いのは、まだ勇気がありません」

「そうかなぁ? エマの方が女性らしさがあっていいと思うけど。ね? 悠伍さん」


 ステラさんがスカートを持ち上げ、エマさんがスカートを押さえている。

 なんだ、この二人の距離感。完全にバグってる。

 これだけで十分ご褒美だ。


「い……一回見てみたいかもしれません」


 俺、調子に乗った。

 欲望を抑えきれなかった。


 これじゃあダイエットをしに来ているのか、エマさんのえっちなスポットを拝みに来ているのか、どっちなんだい? と言われてしまう。


「今日は、何するんですか?」

 邪念を祓い、自分から切り出した。


「そうでしたね! 時間が勿体無いので、すぐに外に出ましょう」


 移動しながらも、さっきの光景が頭から離れない。

 

 薄ピンク……。レースとかついてるんだろうか……。

 やめろやめろ!! エマさんをそう言う目で見るな!!

 自分に言い聞かせては、また思い出しての繰り返し。


 これは帰ってからもしばらく頭から離れなさそうだ。

 そのくらいに可愛いかった。


 エマさんってば、罪な女性だな。

 

 調子に乗るのはここまでで、外に出てからは真面目に頑張った。

 今日は徹底的に姿勢を直された。

 俺は自分で思っているよりも随分猫背なんだそうだ。

 確かに、体をまっすぐの状態にされると、無い筋肉が悲鳴を上げる。


「だいぶ固まってますね。一度心拍数を上げましょう」

 それからしばらく早めのスピードでウォーキングをし、その都度隣から姿勢を直された。

 

 ちょっと姿勢を意識しただけで、ウォーキングの質が変わるのを実感した。

 さっきから汗が止まらないし、筋肉が過緊張している。


「明日には筋肉痛になるかもしれないので、しっかりストレッチしてくださいね」


 帰る頃にはすでに、筋肉痛は始まっていた。

 

 ステラさんから、今日のご褒美は何がいいか聞かれたけど、何もいらないと言った。

 今日はこれ以上のご褒美は心臓に悪い。

 

 ビッキビキの体で、ロボットのような動きのまま現実世界へと帰った。

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